『生贄と食べたいラーメンの話』++++++ ゆうりさん
『生贄と食べたいラーメンの話』
世間一般でいう大犯罪を犯した訳でもない、至極慎ましやかな生活を送っていたと思う。
そんな僕が今街中で知り合ったお母さんに似た女の人に手を引かれ、それはそれは大きな湖に来ていた。
どうしてここへ?そう聞けば。
「あなたは選ばれし勇者なの。
だってこんなにも小さくて、可憐で、優雅で、それでいて幸の薄そうなその顔!
あのお方の好みと一致してるわ!」
「・・・悪かったね」
ぷいっと顔をそらしても一面に広がる湖が視界から離れてくれない。なぜだかすこしお腹がすいてきた。
「ねえお姉さん」
「なあに?」
「僕ラーメンが食べたい」
「はあ?」
突然何を言うんだという顔をされる。
にやりと笑って僕はこう続けた・・・。
++++++ くるるさん
「それなら、僕のママになってくれる?」
「はぁあああ??」
「勇者にはママが必要だもの、ドラキオクエスト3もそうだったでしょ?」
「ニンボク以前のゲームなんか私が知るわけないでしょ!???」
「いいよいいよ、ママになってくれないなら、この話はなかったことに」
「くっ、いいわよ、なればいいんでしょ、ママに」
「わぁい!じゃあ、ママ、ラーメン作って」
「インスタントでいいの?」
「本物のママと屋台で食べた、あのラーメンが食べたい」
「あんた、、、」
僕は最後にママとラーメンを食べた、あの日に想いを馳せる。
++++++ ちみにぃさん
「あのね、ママ。本物のママと食べたあの屋台のラーメンの味……今までに食べたことがないような、すごい味だったんだ」
古びた屋台でママと食べたラーメンの味。シミだらけの暖簾の向こう側は、ラーメンの熱気と、何とも形容しがたい臭いに満ちていた。
そのカウンターの向こうにあった、ラーメンの材料らしきもの。タコの吸盤のようなものが体中に生えている紫色の物体が、ひときわ目を引いた材料だった。
「なんか紫色の吸盤が入っててね、スープは緑色だったんだ」
「それ本当にラーメンなの?」
++++++ いとま
「ラーメンだよ!!とってもすごい味がしたの!!」
「いったいどんな味なの・・紫いろの吸盤入り緑色スープのラーメン想像できないわ
教えてくれる?」
「なんかすごいの!食べた時頭から記憶ぶっ飛んでて
全然覚えていないんだけどすごいってことだけ覚えてる!ママが連れて行ってくれたんだ」
「それは人類がたべてもいい食べ物なの?ラーメン(危険物質)ではなくて?」
++++++ たけのこさん
ラーメンをひと口すする。ピリピリとした電流が脳を走る。
これ、すっごくおいしい!
これ、すっごくおいしい!
これ、すっごくすっごくすっごくすっごくおいしい!
おいしいおいしいおいしいおいしいおいしいおいしい
おいしいおいしいおいしいおいしいおいしいおいしい
おいしいおいしいおいしいおいしいおいしいおいしい
おいしいおいしいおいしいおいしいおいしいおいしい
おいしいおいしいおいしいおいしいおいしい!
あれ、もう無いの?早くちょうだい!!!!なんだか食べてないと頭がヒリヒリするんだあ
このままずーっとずーっとずーっとずっとずっとずっと
ずっとずっとずっとずっとずーっとずーっと一緒にラーメン食べてようねぇ!!
ねえ???ねえ!
(ラーメンルートエンド 終わり)