似てない兄弟・似たもの同士「それじゃぁ、浩介さんの仕事が終わる位の時間に迎えに行きますね」
国際電話の通話相手がそう言いだした所で、こうなる可能性について気付くべきだった。
遅くまで部活に勤しんでいた生徒達が帰る頃に、俺も職場である学校の玄関を抜け出して、パタパタと俺を抜き去って帰る彼らの背中に「気をつけて帰るんだぞー」と気の抜けた声をかけていた時にその異変に気付かされた。
何か、人だかりが出来ているんだけど。
心の中でだけそう呟いてその人だかりをチラリと見遣ればスカート姿の女子集団の中心で多少慌てているらしい男の姿。その男の隣には高級車。そしてだめ押しのごとく、男が助かったとでも言うように上げた「浩介さん!」の声。
「まじかよ……」
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