監督生と僕は所謂『お付き合い』をしていた。
この男子校で、まさかこの僕が、まさか異世界から現れたという三次元の女の子と、お付き合い。
彼女はとても気さくで、こんな僕にでも優しく接してくれて。リアルに免疫のない僕は、簡単に彼女を好きになってしまった。
好きで、好きで。
好きすぎて。
離したくない。
他の奴らと話してほしくない。
君の笑顔を他に見せないで。
君の全ては僕のものだから。
「え?」
だから君が、僕の言った言葉に表情を曇らせたのが、僕には理解できなかった。
「だ、だから……僕の家に来ればいいよって、言ったんだけど……」
「それは……」
「卒業したら君に居場所なんて無いだろ? あのマブたちだって卒業と共に、はいバイバイ、だろうし? 学園長だってそこまで面倒見るつもりは無さそうだし。こんな世界に一人放り出されて生きていける? だって君、今だってあっちこっちの寮を渡り歩いてさ、一人では何もできないじゃん。ど……どうせ他の寮長ともよろしくヤッてんじゃないの? お、おかしいと思ったんだ、拙者みたいな陰キャに構うなんて裏があるに決まってる。で、でも拙者は心が広いですし? そんな尻軽な君を一人放っておいて死なれでもしたらさ、魂がウチに来ちゃうじゃん? 拙者のとこの仕事増えるし、や、厄介じゃんか、異世界の魂とか扱い分かりませんし? それならいっそこっちの世界の者として受け入れて……」
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