苦しい、と思って目を開けた。ぼんやりする視界と脳は、まだ薄暗い部屋を認識して。それから真夜中の起床の原因を把握した。しっかりと腹に回った腕はデュースのもの。帰ってきたことに気づかなかったのはオレが疲れていたせいか、それとも悟らせないようにそっとそーっと潜り込んできたヤツのせいか。
すぐ後ろから聞こえる寝息は穏やかなもので、学生時代にクソうるさかった歯軋りをマウスピースやら何やらで矯正させたのは大正解だったなぁなんて思ったり。じゃなきゃこんな至近距離で寝てらんない。そのおかげで防音魔法は早々に上達したんだっけ。
その後、騒音の原因とヤる時にもめちゃくちゃ役立ったなんて笑える話だ。
逞しくなった腕を少し緩めつつ思い出に浸っていると、デュースがぐぅと唸る。犬みたい。
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