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    kameyamakameta

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    kameyamakameta

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    フライがシルバーを稚魚と呼ぶようになった話

    幻鰭痛フラシル、まだフライの部屋に通い始めて間もないシルバーにフライが
    「お前は稚魚の頃はどんなだったんだろうなあ。さぞ可愛かったと思うんだが…」っていうけど
    「ぃま、いぅ、ことじゃ、にゃひ…❤︎」
    えっちの真っ最中にいうもんだから怒られるフライ。

    終わったあと、甘やかせば甘やかしただけ恥ずかしそうにしながらも、「もっと…もうちょっとだけ…❤︎」ってぴゃいぴゃい懐で鳴いて強請るのがあまりにも稚魚だったから、と白状すると真っ赤になって「俺は稚魚じゃない!」って怒られるフライ。

    「だ、だいたいなあ!ほんとに稚魚のときだって、それから新兵のときだってこんな甘ったれなことしたことない!」
    「こんな?」
    「だ、だから、こうやって、抱えられて一緒に寝たり、とかそういう…」
    「…なかったのか?」
    「あ、当たり前だろう!パイロットだったんだ!」

    新兵とはいえ爆撃機(カタパ)のパイロットは幹部扱いなので待機期間は雑魚寝の一般兵舎ではなく個室の寮になる。
    多くの新兵は年上の一般兵に構い倒されて甘え方を学ぶというのに。
    「そうか…」
    「な、なんだよ…?」
    「…爆弾隊の訓練生時は?」

    「そ、そりゃ、そうやって先輩に構い倒される訓練生は周りにはいたが、俺はそういうんじゃなかったし…」
    「そうか…」
    まあ、最年少の秀才として鳴物入りで訓練生になったシルバーだから、周りも後輩としてかわいがりはしたろうが、甘やかす対象にはならなかったんだろうと容易く想像がつく。

    「な、なんだよ、言いたいことがあるならはっきりいえよ…!」
    そう言って、ゔぅ…!と唸るから
    「頭一つ二つも飛び抜けて精進してきたお前がようやっと甘えられる先がこんな化け物で悪いなぁと思ってる」
    というときょとんとした顔をするから、変なことを言ったか?と聞くとぎこちなく頷いて、

    「…『一般兵から這い上がった経験のない隊長は威厳に欠ける』とか、言う、かと、思って…」
    後半はもう声が震えてて、「誰かになんか言われたな」と察するフライ。
    何か声をかけようとフライが口を開く前に「別に、気に、してない…!」と語気を強めて言うから、そうかと言う代わりに一つ唸ると、「ただ…」と続いて

    「…ただ、お前には、言われたくないって、思った…」
    「…言わんし、思わん。」
    「ん…。」
    「普通と違う道は、急峻だ。その分、距離が短いから、皆羨む。」
    「…知ってる。」
    「はは、そうだな。お前が1番身をもって知ってるよな。…その道を進むために、切り捨てたものは、もう取り戻せない事も。」

    「っ…。」
    まるで傷が痛むかのように顔を顰めるシルバーの背鰭をそっと撫ぜる。
    借り物で紛い物ばかりの感情しかない自分も喪失の傷みだけは確かなモノとして知っている。
    翼を授かるために捥いだ鰭の幻鰭痛が、如何許りかは知れないが。
    「…シルバー。」

    苦しそうに此方を見る目には、覚悟があった。いくら欲してもそれを与えられはしないのだと言われると。それをお前が言うなら受け入れようという目をしていた。

    …冗談じゃない。

    「言ったろう?この関係を始めるときに。お前の、傷を俺に埋めさせて欲しいと。」

    「…え。いや、アレは、あの部屋でのことを言っていたんだろ?!」
    「もちろん。でも別にいいだろう?他に傷があったなら、止血ぐらいしても。」
    「それは、それはそう、だが、現実の怪我ならの話で…!!」
    慌て出すシルバーに安心する。
    欲しいものが急に貰えると狼狽えてしまうのはよくあることだ。

    現に、慌ててはいるものの懐に深く抱き込んで背中をぺふぺふと叩いてやれば恐る恐るすり寄ってくる。
    遠慮なんか要らないから好きに甘えろと鼻先を寄せてやると満たされたようで、ほぅと息を吐いた。
    それでもまだ、ぅぅ"、と唸ってもぞと身を捩るから、もう少し強く抱き寄せると、

    「…我慢、出来るつもりだったのに…」
    と恨み節が聞こえたのでふんと鼻で笑ってやる。
    「共寝するだけで甘ったれだなんて言うやつが、我慢出来るはずないだろう。」
    そう言ってやると何もいえなくなったようで。それでもなお何か言いたいらしく鼻をすんと一つ鳴らしてから「お前なんかキライだ」と鰭の間から投げ捨てて寝入る体勢をとるシルバーに
    「おやすみ、俺の可愛い可愛い稚魚。」と声を掛ける。
    堪えきれなかったのか、嬉しそうなふくりという吐息が暖かく喉元を掠めた。
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