果たすべきは、 ここで待てと、あなたは仰いました。
『承知しました』
それが命令なら、私は従うだけでした。
『行ってらっしゃいませ、──様』
私の言葉に、あなたはただ、背を向けて去るのみでした。
待ちました。どれだけの月日が経とうとも。
待ちました。この体が立っていられなくなろうとも。
私はただ、待っていました。
──分かっていたのです。
あの日、あなたが終わりに向かわれたということを。
だからこそ、あなたが帰ってくることは、もう、二度とないのだと。
分かっていて、それでも。
私は、待つことを選んだのです。
それが、あなたが私に残した、最期の言葉だったから。
あぁ、でも。
申し訳ありません、──様。
私は、あなたの言いつけを守れなかった不忠者です。
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