気長に待てない 『気長に待ってる』
そう言ってクリスマスパーティーに戻るように誘導する土浦くん――梁太郎の腕を思わず掴んでしまう。
「土浦くっ……――梁太郎くん!」
「っ!…香穂、お前……」
私が名前を呼んだことに驚いた梁太郎くんはこっちを振り向く。
「言い逃げなんて、ずるいよ…」
「ずるいったってお前……」
「私が同じ気持ちだって何で思わないの…!?」
「同じ気持ちって、香穂…お前」
まさか私がそんなことを言うと思っていなかったのか梁太郎くんは驚いて、瞬きを繰り返す。
「ずっと一緒にやって来て、梁太郎くんのすごいところや素敵なところを見てきて、梁太郎くんが私の事を特別に感じたと同じように私だってそう感じたんだよ!私は梁太郎くんのことが好きなのっ!」
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