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    tyaetyae_57

    HL、夢を中心に置いています。
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    tyaetyae_57

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    オリジナルバディファイターの話

    ○遊場 ヒロム(あそば - )
     初等部6年生の男子。バディは雷斧 アギト。
    バディのアギトたちと共にゲーム実況やファイトの動画を投稿している友チューバー。誰かと何かを作り上げる事が好き。

    ○月出 歌奏(ひたち かなで)
     中等部1年生の女子。バディは王覇 ゼルベリオス。
     引っ込み思案な性格だが、実は凄腕の作曲家であり、音声合成ソフトで歌を作っている。

    ○愛山 七海(まなやま ななみ)
     中学2年生。性別に囚われない容姿をしたアイドル。バディはデュエルイェーガー。
     バディのイェーガーと共に『可愛い』を追求しながら活動している。

     3人の共通点は、皆エンシェントワールドのデッキを使っているという事である。

     トン、トンと机を楽器代わりにリズム良く叩く。イヤホンから微かに漏れる音は、昼下がりの静かな教室では雑音に紛れてはくれなかった。
    「こら、月出ひたち!」
    「はひ……っ!」
     驚きのあまり、歌奏かなでの耳からイヤホンがこぼれ落ちる。同時に立てていた教科書が倒れ、ルーズリーフの五線譜が現れた。慌ててワタワタとする様子の彼女に、担任の先生は肩を竦める。
    「好きなのは分かるが、授業中の作曲は我慢しろ〜!」
    「えへへ……、ごめんなさい……」
     呆れこそあれ本物の怒りは込められていない言葉に、歌奏は目を細めてぺこぺこと頭を下げる。その様にクラスメイトが言及する。それは、彼女のいるこのクラスにとって日常と言っても良い光景であった。

      ◇  ◇  ◇

    「帰ってストックの撮影だ、アギト!」
    「おうっ! 冬の新作ラッシュに備えるぞ!」
     放課後。相棒学園での青春を謳歌する傍らゲーム実況者という顔を持つ遊場あそばヒロムは、相棒のアギトと共に廊下を走っていた。教師から見つかれば危ないと止められてしまうだろう。だが、誰からも声を掛けられずとも、その足はぴたりと止まった。
     ――音楽室からピアノの音が聴こえてくる。曲を紡いでいるというより、一音一音確かめるように鍵盤を押す音。気になって、ヒロムはアギトと共に音楽室を覗き込んだ。
     片膝を立てて椅子に座る金髪のポニーテールが特徴的な少女。彼女の傍らには五線譜のルーズリーフとピアノの横に立つ大きな竜がいる。
     彼女はヒロムの存在に気づかず、短いフレーズを何度か繰り返し弾いていた。その度にルーズリーフに何かを書き込むので、知識のないヒロムにも作曲をしているのではないかと検討がつく。興味をそそられたヒロムは、ゆっくりと音楽室の中へ足を踏み入れた。
    「何してるんですか?」
    「ひゃう……っ」
     背後から声を掛けられ、彼女は――歌奏はペンを放り投げた。大きな竜――バディのゼルベリオスが、見事それをキャッチしてみせる。
    「あ、ありがとう、ゼルベリオス……」
     褒めろと言わんばかりに頭を押しつけてくるバディの頭を撫でながら、歌奏はへにゃりと目尻を下げる。それからヒロムの方へ向き直った。
    「うん。えっと、曲をね、作ってたんだ」
    「やっぱり! すごいですね」
    「あっ。それじゃあ、その〜……」
     言い淀む歌奏の背を、ゼルベリオスが指でツンと軽く触れる。歌奏はコクンと頷いて、イヤホンを接続した電子端末をヒロムに差し出した。
    「良かったら、聴く?」
    「聴きますッ!」
     根っからのクリエイターであるヒロムは、他者の努力の結晶を吸収することが好きなのである。ワクワクしながら、意を決してアギトと分け合ったイヤホンを耳に差した。
     ――直後。ぶわっと、イントロから曲の世界に惹き込まれる感覚。足元から強風が吹き、髪が逆立つようだ。感情を吐露する歌詞とそれに合ったメロディ。歌っているのは音声合成ソフトだが、人間が歌っているかのように自然だった。
    「こ、これは……!」
    「どう、かな……。ネットにアップとかも、してるんだけど」
    「どうって……」
    「すごいぞ!」
     アギトが興奮気味に反応する。ビリビリとした感覚が残ったまま、ヒロムがイヤホンを外して感想を伝えようとすると、ひょっこりと顔を出す人物がいた。
    「ホント、凄いんだよね、歌奏さんの曲は」
     赤髪のポニーテールを揺らしてにこにこと微笑むその人に、ヒロムは目をぱちくりさせる。
    「アナタは、もしかして……」
    「ナナミンだぞ……」
    「そうでーす! 知っててくれて嬉しいな!」
     そう。その人は、バディファイターアイドル、愛山七海であった。七海は歌奏の方へ向き直ると、真っ直ぐに彼女を見つめる。
    「歌奏さん。ネットに公開されている君の歌を聞いて、ビビっと来たんだ! どうか僕の新曲を作ってほしい!」
    「……ひゃいっ」
     手を差し出され、歌奏はキョトンとする。全てを理解したその瞬間、彼女は大袈裟に仰け反った。
    「でもでも、うち、愛山さんのこと、テレビでぐらいしか知らないし……良い曲、書けるかな……」
     ヒロムは歌奏なら大丈夫だと思ったが、本人は自信がないらしい。そんな彼女を前に、七海はふふんと得意げに仁王立ちをした。
    「大丈夫! 僕たちはファイターだよ。ファイトを通じて知ってもらえたら良いと思って、試合会場を用意しました!」
     ファイトを通じて互いを理解する。その方法に納得が行ったのか、歌奏は不器用に片笑みを浮かべ、七海が差し出した手を握った。


    「アイドルファイター・ナナミンと凄腕作曲家の歌奏先輩のファイトかぁ。楽しみだな、アギト!」
    「おうっ! だけど、自分も戦いたかったぞ!」
    「終わったら、動画の出演依頼してみような!」
     観客席でヒロムとアギトが見守る中、七海と歌奏のファイトが始まる!

    「いざ、出港! 進もう。五線譜の海を、みんなどー緒に! ルミナイズ、舞台の大航海ステージ・オン・クルーズ」
    「心に灯る残響、湧き上がれ反響! ルミナイズ、壮大な幻想曲グランディオーソ・ファンタジア!」

    「オープン・ザ・フラッグ! エンシェントワールド!」

     フラッグがオープンされると、アギトは目を輝かせる。
    「エンシェントワールド同士の対決だぞ!」
     そして、歌奏からターンが始まろうとしていた。
    「うちのターン。ドロー、チャージアンドドロー! センターに王覇 ゼルベリオスをバディコール!」
     ライフは10→11になる。そしてゼルベリオスの効果で覇竜紋章オーバー・クレストを手札に加える。
    「ゼルベリオス! コモド気楽にコモド気楽にカルマート静かにだよ!」
     宥めるように言い聞かせる。ゼルベリオスはフンっと鼻を鳴らして前を向いた。血気盛んなバディを前に胸を撫で下ろし、歌奏は覇竜紋章オーバー・クレストを設置する。
    「キャスト、覇者の威圧を設置。効果で再起の覇道 ゼルベリオスをドロップゾーンへ! 更にキャスト、頑竜一徹! デッキからエンシェントワールドのモンスターを――再起の覇道 ゼルベリオスを二枚、ドロップゾーンへ!」
     流れるようにカードを駆使する歌奏を見て、客席のアギトは前のめりになる。
    「どんどんゼルベリオスをドロップに送っていくぞ」
     更に歌奏のターンは魔法を駆使していく。
    「もう一度、キャスト、頑竜一徹! 再起の覇道 ゼルベリオスと天上覇王 ゼルベリオス・ロストをドロップゾーンへ!」
     そして、歌奏のアタックフェイズが始まる。
    「ゼルベリオス! ミナッチョーソ脅かすようにでファイターにアタック!」
    「うわぁああっ」
     七海のライフは一度に10→3になる。打撃力7の攻撃だったのだ。
    「どうしてあんなにダメージを与えられるんだ」
     目を丸くするヒロムに、アギトが解説を始めた。
    「再起の覇道 ゼルベリオスは、ドロップゾーンにある限り場の最強竜のカードの攻撃力と防御力を1万上げ、打撃力を1上げる能力があるぞ。つまり、それが4枚ドロップゾーンにあるということは……」
    「攻撃力と防御力はプラス4万、打撃力はプラス4、そしてゼルベリオスの元々の効果で打撃力プラス1……打撃力7になるのか!」
     ヒロムの言葉にアギトは頷く。そして歌奏は王覇 ゼルベリオスを制覇 ゼルベリオス・オーグへと進化させ、ターンを終了する。
     最初から大打撃を受けた七海だが、ふらりと立ち上がる。その顔には不敵な笑みが浮かんでいた。
    「ライフが0になっていない限り、ここから一度もダメージを受けなければいいんだよね!」
     ドロー、チャージアンドドローをした後、七海はキャストした。
    「キャスト、竜魂注入! デッキの上から2枚をドロップゾーンへ! その中に竜王番長があるから、ワンゲージ、ワンドロー!」
     そして、七海はイェーガーに目配せする。イェーガーはその意図を理解し、コクリと頷いた。
    「竜王番長 デュエルイェーガーをセンターにバディコール!」
    「グォオオオ……!」
     巨大化したイェーガーはセンターに降り立ち、咆哮を放つ。
    「そして、そのまま剛腕無双番長 デュエルイェーガー "リボルテッド Re:Bリバイバルバディ"をコール!」
     次の瞬間、イェーガーの体が光り輝き、更に巨大化した。海神色の巨大な翼をバサリと広げ、決して小さくはないはずのゼルベリオスを見下ろす。
    「キャスト、一念竜起! デッキの上から2枚をゲージに起き、僕のライフをプラス2! もう1枚、一念竜起をキャスト! ゲージとライフを増やしたところで、このままアタックフェイズ行っちゃうよ!」
     イェーガーは武器を構えてゼルベリオスを見据える。臨戦態勢のイェーガーを見て、アギトとヒロムは戦況に思いを巡らせる。
    「デュエルイェーガーの攻撃力は4万と強力だけど……」
    「ゼルベリオス・オーグの防御力は6万5千だぞ!」
     その壁をどう超えるのか。七海はイェーガーの効果を発動させる。
    「ゲージ1を払って、攻撃力を2万アップする! この能力はお互いのアタックフェイズに何回だって使える! もう1ゲージ払って……攻撃力を2万アップ!」
     これでイェーガーの攻撃力は8万だ。イェーガーの錨が、ゼルベリオスに振り下ろされる! ――だが。
    「キャスト、覇断 覇皇衝!」
     ドロップゾーンから進化したゼルベリオスが、イェーガーの攻撃を弾いた。
     
    (続きは今後書いていく予定です…!)
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