明けの三日月政「午前五時十四分、ご臨終です。」月「そうか。」主はとても可愛い人だった。素直で、良い子で、可愛らしい、初心な幼子。審「みかづきは私が守る!」月「ははは。それは頼もしいなあ。しかし、じじいの世話を一人でできるのか?」審「私はもうお姉さんだもん!子供扱いしないで!」月「ははは。すまんすまん可愛くてついなあ。」審「もー!」いつの記憶だったろうか、一千年も生きてきたためだろうか。主の思い出が薄れるくらいなら、昨日の夕飯の献立を忘れる方が余程マシだ。政「…夜が、明けますね。」月「そうだな。」夜空に瞬いていた星は知らぬ間に眠り始めていた。月「…。」政「…どうされましたか?」月「いや、何でもない。」俺は隣で眠る主の顔を見て言った。月「守ってやれなくて、すまないな…。」
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