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    youraku0510

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    youraku0510

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    クリック君がモブに傷つけられてテメがブチ切れる話。
    クリテメ前提
    (ちょっと修正&タイトル消しました)

    ピチョン、と天井から滴る水滴と、頭部に感じる鈍痛によって、ゆっくりと意識が浮上する。
    「……?」
    目を覚ますとそこは、どこかの倉庫のような場所だった。
    「───っ!?」
    思わず叫びそうになったが声を出せないのは、猿轡を噛まされているせいだと気づく。
    慌てて立ち上がろうとするも、どうやら今の自分は両手足を縛られ床に転がされている状態らしく、芋虫のように地べたを這いずりまわることしか出来なかった。
    一体何が起こったんだ……?
    必死で状況を整理している時、後方から声が聞こえてきた。

    「おや、お目覚めですか?」

    (誰だ……?)
    どうにか起き上がり声の方向へ顔を向けると、そこには貼り付けたような笑みを浮かべた銀髪の男がいた。


    コツ、コツ。
    靴音を響かせ、男が近づいてくる。
    (格好から見てこの男……、神父か?)
    男は笑みを浮かべたまま、近くに置かれていた椅子に腰をかける。
    そして、つま先で俺の顎をすくい上げると、氷のように冷たい声で問いかけた。

    「クリック・ウェルズリーという青年をご存知ですか?」

    聞いたこともない名前に、どうにか記憶を手繰り寄せる。
    「まぁ、わからないのも当然でしょうね。……先日、町中で貴方に斬られた青年ですよ」

    そこでようやく合点がいった。
    この前、俺にぶつかってきたガキがいて、ソイツを蹴り飛ばそうとしたら、一人の聖堂騎士がそのガキを庇ったんだ。
    その男の、真っ直ぐに俺を見据える目が気に入らなくて。
    何もかも見透かされている気すらして。
    気がつけば剣を抜いてヤツを斬り捨てていた。
    それでもなおソイツはガキに被害が及ばないように庇い続け、その場から逃げ出そうとはしなかった。


    「酷いことをしますよねぇ……。貴方は子供を手にかけようとしただけでなく、その子を庇って無抵抗の人間を何度も何度も斬りつけて……、おかげで彼は今、意識不明の重体ですよ」
    そのまま男は俺の顎を蹴り飛ばす。
    「……グゥッ!……ッ!」
    「痛いですか?でもね、彼はこの何倍もの苦痛を受けました」
    シャラ…とどこからか取り出した錫杖で横っ面を思いきりぶん殴られた。

    「それでも彼は決して逃げなかった……!」
    次は顔面を。鈍い音が響き、鼻が潰れた。

    「最後まで子供を庇って……!」
    次は頭部を。目の中に火花が散る。

    「それなのに……お前という奴は……!」
    しばらくの間、鈍い音が暗い部屋の中に響き渡った。


    「フーッ!フゥーッ!」
    さんざん殴り飛ばされ、喋れないながらもどうにか命乞いをしようとするが、奴は表情一つ変えずにスラリと剣を抜く。
    「さて、と。まずは彼を傷つけたその右腕から戴きましょうか」
    荒く息を吐く俺に構うことなく、そのまま剣が振り下ろされる。

    ガキンッ!!

    いつまで経っても襲ってこない痛みに恐る恐る目を開けると。

    「……ソローネさん。邪魔しないでもらいましょうか」

    目つきの鋭い女が、ナイフで男の剣を受け止めていた。
    助かった……のか?

    「……あの坊や、目を覚ましたよ」
    「……!本当に……?」
    「あぁ、だから少し落ち着きな」

    今までの冷たい雰囲気が目に見えて霧散していく。
    良かった……助かった。俺は蹴られた痛みも忘れて安堵の息を吐いた。

    そんな空気の中、まだ終わっちゃいないとでも言うように、唐突に女の方が口を開いた。

    「ストームヘイルの町外れにある小屋」
    「……どういう意味です?」
    「そこがコイツとその仲間達のアジト」

    「!?」
    な、なんでこの女がそんなこと知ってるんだ!?

    「どうせなら、コイツとその仲間ごと全員地獄に送ってやろうじゃないか」
    「…………」
    「まさかやらないなんて言わないよね?」
    「……フフ、ソローネさんもなかなかいい性格をしてらっしゃる」
    「私もあの坊やのことは結構気に入ってるんだ」

    今度は穏やかな笑みを浮かべるようになった男がクルリと振り返った。
    「……さて、ソローネさんに感謝してくださいね?これで貴方も仲間たちと同じ場所へ行けますよ?」
    行先は天国じゃなくて、地獄ですけどね。


    さぁ…行きましょう、と男に引き摺られながら、俺はもう二度と陽の光を見ることは叶わないのだと悟った。

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