きみは、ぼくらのたからもの2 これは少し前のお話。
二人の第三子となる長女がまだ悠仁のお腹の中にいた頃の話だ──。
* * *
「あ、また動いた」
ぽっこりと大きくなったお腹に触れながら悠仁はうれしそうな声を上げた。
その声に悠仁の傍にいて仲良く遊んでいた二人の息子が母親の顔を見上げ、子どもたち用のジュースを手にキッチンから家族のもとへと向かっていた五条がふっと笑みを浮かべる。
「よく動く子だね。また動いたの?」
「すげぇボコボコ蹴ってくるよ。腹痛ぇ」
腹部の痛みを訴えながらも悠仁の顔は幸せそうで、五条はテーブルの上に持っていたジュースを置くと、彼が座っている隣に腰かけた。
そして愛しいパートナーのお腹にそっと手を当てる。
「どれどれ?」
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