添うてくれる俺とは違う人無意識かもしれんがと、セイジャイは前置きをした。
「煙草の本数が増えてるぞ」
ふはっ、とまとまらない煙を吐いて、それから親指と人差し指の間に挟んだ橙色に灯る煙草の先を眺めすがめる。「そうか?」と返すと、セイジャイは頷いて肯定した。
「一日何本吸ってる?」
「なに?先生、俺のことそんなに気になるの?」
「ふざけるな」
「いちいち吸った煙草の本数なんか覚えてねえよ」
「箱なら数えられるな?」
黒ずんだ天井を眺めながら、潰して捨てた箱をことを思い出す。一回目は集金した家賃を計算していた時。近くにあった赤いゴミ箱に。二回目はここ、林診療所のゴミ箱に。今吸っているのはその箱の中の最後の一本。以前は一日一箱程度だった。セイジャイの言う通り、確かに増えている。
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