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    amina_0704

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    amina_0704

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    恋こいのストーリーを読む前に予告の情報だけで描いた幻覚
    加筆も校正もしてないし、今後もすることはないと思うので供養

     「これ、栄養満点で体にすごく良い薬草なんだって」
     珍しくスタプロの姫宮くんから連絡が来たので、時間を合わせてレスティングルームで集まることになった。
     用件は「健康に良い幻の植物を手に入れたけどどう調理して良いかわからないから協力して欲しい」ということらしい。病弱な天祥院くん(弱ってるとこ見たことないっすけど)のために実家の伝手を使って手に入れたのは良いものの、とても珍しい植物なのでどんなふうに使えばいいのかどこにも載っていなくて困っているのだそうだ。
    「椎名センパイは海外の料理にも詳しいでしょ?なにかいい案はない?」
     目の前に出された一束の植物は、確かに見たことのないものだった。名前すら初めて聞くもので、料理人としてはとても興味深い。
     ちょっと味見させてと、試しに匂いを嗅いだり端を齧ったりしてみる。
     少し苦くて植物らしい青臭さがあるけどそこまで食べにくい味ではない。匂いもすうっと爽やかで良い。
    「う〜ん、この風味なら何に使っても良さそうっすけど……天祥院くんの好き嫌いわかんないし。そうだ、天祥院くんってなんのサークルでしたっけ?」
    「ティーパーティだよ。あ、フレイヴァーのほうね!……そっか!紅茶に合うものをプレゼントすれば良いんだ!」
     そんなこんなで紅茶に合うお菓子、クッキーを作ることになった。
     姫宮くんは自分で作ったものをプレゼントしたいらしく、比較的初心者向けで植物を使ったものということでハーブクッキーを作ることにした。

     色々あったものの無事にクッキーが完成し、「ありがとう、英智様に渡してくるね!」と桃李は笑顔で駆けていった。ニキはというと、残り半分お裾分けにともらったクッキーと星奏館のキッチンに残されたわけだが、(まさか採取どころか探索にも時間がかかると言われている貴重な幻の植物を使用したクッキーを分けてもらえるとは思いもしなかったので)てっきり伏見くんにでもあげるのかと綺麗にラッピングしてしまい、今すぐ味見するのも面倒でとりあえず鞄にしまった。
     今日はアパートに帰る日だし、燐音くんと一緒にそれっぽくお茶でも入れて一緒に食べよう。
     そう思いついて燐音に一つ連絡を入れて帰路についた。

    「燐音くん、なんで先につまみ食いしちゃったんっすか!」
     そうニキが怒鳴ると隣の部屋から壁を殴られた音がした。
     ニキが風呂に入っている十五分ほどの間に二枚も食べたのだという。
    「あー、つまみ食いってか味見?君主サマが直々に毒味してやったんだって。めちゃくちゃ美味かったぜ?」
     バツの悪そうな顔をしながらも悪びれない燐音の台詞にニキは茹でた蛸の如く顔を赤くした。
    「あのねぇ、これは姫宮くんがお家の人のツテを使って取り寄せてくれた超超超〜貴重な植物使ってんすよ⁉︎せっかくだったらお茶入れて一緒に食べたいっていう僕の気持ち蔑ろにして…!」
    「……悪かった。詫びってわけじゃねェけど、俺お湯沸かしてくるから座ってろ」
     こうしてしおらしく謝ってくるとついつい許してしまう。甘やかすようで良くないとも思ってはいるけれど、こう言ってくれてるんだしと思ってしまい……まあ……要はなんだかんだ僕も甘いんすよね。
     何もしないのも手持ち無沙汰に思ったニキが食卓を拭いてると、ニキの携帯の着信音が鳴った。
    「椎名先輩⁉︎もうあのクッキー食べちゃった⁉︎」
     なにやら物々しい様子の桃李からの電話であった。
     自分に電話をかけたということはクッキーになにか問題があったのだろうか?今回は時間がなかったので味見をしなかったのだが、砂糖と塩を間違えていたとか?それとも半分も僕にくれたからフレイヴァーに持っていくには数が足りなくなったとか?
    「まだっすけど、なにがあったんすか?」
    「さっきの幻の植物なんだけど、間違えて似た草を採ってきちゃってたみたい!僕たちが使った植物の効能は【恋に落ちる】だったみたいなの!」
     声を張り上げる桃李の後ろの方で、英智のものと思われる甘い声がうっすらと聞こえる。
     「英智様、今はちょっと……とにかく、少なくとも詳しいことがわかるまでは絶対に食べちゃダメ!」
     桃李がそう叫ぶと、耳元のスピーカーから通話終了を知らせる電子音が響いた。
     どうやら手違いでとんでもない効果の植物を使ってしまって天祥院くんが大変なことになっているようだが、幸いこちらは手をつける前で良かっ……ん?

    「燐音くん!吐いてください!胃の中全部キレイにするっすよ!!」
    「はぁ⁉︎てめ、なに……おい引っ張るな!どこに連れてくつもりだ!」
     すでにコンロの上に置かれたヤカンの火を止め、燐音を無理やり玄関の方に引っ張る。
    「トイレっすよ!全部吐いてください!燐音くん、さっきクッキー食べてからどれくらい時間経ちました?体に変なところはありません?」
    「なんなんだよ!クッキーがどうかしたか⁉︎」
    「あのクッキーに使った植物、手違いで食べた人が恋に落ちる〜みたいなやつだったんですよ!」
    「はぁ⁉︎」
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