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    1000midori

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    6月個人誌予定のプロローグ
    人間kbn×夢魔+淫魔な性質のdnd

     初めてその話を聞いたときは、さすがのオレも自分の耳を疑った。少なくとも初めて聞いたときは確実に冗談だと思っていたし、聞き返して繰り返されたときもまだ疑っていた。そのくらい、奇想天外な話だったのだ。
     ────聞くところによると、どうやらオレの先祖には、ポケモンと番になった女性がいるらしい。
     そのポケモンが何か特別なのかと尋ねられればそうではなく、途絶えてしまった種なのかと問われてもそうでもなく、ただ普通に、今でもワイルドエリアなんかでたまに見かけるポケモンだった。
     ポケモンの名は、ムンナ。夢を食して煙を吐く、エスパータイプのポケモンだ。女性はそのムンナと、彼女の見た夢の中で番になったらしかった。
     彼女はムンナとの夢を見てから数ヶ月後に身籠り、そうして生まれた子供は、彼女の夫とは似ても似つかない桃髪の赤眼だったと伝えられている。母親の乳は殆ど飲まなかったにも関わらずスクスク育ち、その時代では珍しいほどの高身長だったと聞いた。
     ろくに食事も摂らない子供だのに何故そこまで発育がいいのかを誰も彼もが不思議がって女性に尋ねたが、彼女はただ「分からない」と首を横に振るだけだったらしい。……本当は、心当たりがあったのに。
     女性は、その子供が自分とムンナの間にできた子だと知っていたし、ときどきその子が血の繋がらない父親、もとい彼女の夫の枕元に立っているのも知っていた。ムンナが夢を食べるときと同じ光る模様が、その子供の目の奥にも咲いていたのをしっかり目撃していた。
     ここまで話すとやはり奇妙な話のような気がしたが、ここガラルにおいてこのような奇怪な現象は、とりわけ田舎では、よく聞く話だった。────ああ、そうだ。《神秘》と言わないといけないんだった。
     もちろんガラル中に《神秘》の残滓は存在していたが、やはり田舎の方が身近だったことは間違いない。ソニアのひいひいひいひいひいじいちゃんは狼男に襲われたことがあるようだったし、ご近所だったジェームズは吸血鬼の血を引いていると聞いたことがある。ほかにも、エルフだったりドワーフだったり、いまだにネクロマンサーの家系なんかもあったりする。とかく《神秘》と交わることは、ここガラルにおいてさほど珍しいことではない。

     珍しいことではない……のだが、そもそもこんな話を聞くことになった理由でもあるオレの体質は、その《神秘》の影響が二重に出ているという点において、非常に珍しかった。ムンナと交わったまま続いた血は、相性の良いほかの《神秘》を魅了してしまったのだった。
     オレのひいひいひいひいひいばあさんは、サキュバスの血を引いていた。
     結果、どうなったかは想像に難くないだろう。

     そういうわけで、今日も今日とて“食事”のために変装をして、深夜の街に繰り出す。泥酔して路上で眠りっこけている人間から少しばかり夢をいただくのだ。こうやって誰彼構わず“食事”をしているから、たまに純粋な人間ではないヒトの夢を食べることもあって、まぁ、どうやら今日はそれのようだった。
     眠っているヒトを介抱するフリで肩を担ぎ、人通りの少ないところまで連れて行って地面に下ろす。大方エルフの混ざりモノだろう、耳の少し尖った見た目の良い青年の額に手を当て、オレ自身も目を瞑って夢の端っこを探した。枕元に立つだけで食事ができれば最高なのだが、血が薄まった影響なのか、オレの場合は触れている相手の夢でなければ食べられないのだ。
     見つけた夢の端、つまりは夢の見始めのところで結び目を解き、いま見ている夢の少し手前までを取り除いて結び直す。旧友と再会するという、至って平凡で幸せそうな夢を忘れてしまうことになるのは少し心苦しいが、そのあたりは同じ混ざりモノとして理解してほしいというか、許してほしい。ようやくありついた“食事”をよく味わって腹に収めれば、やはりこのあたりの夢はそうそう外れることもなく、無難で美味しかった。
    「ごちそうさま」
     聞こえていないと確信を持ちながらも、いつものように礼を言ってから立ち上がる。あとは警察に泥酔した青年が落ちていたと情報提供をしてやればいいだけだ。

     ちなみに、実際のムンナがどうなのかは不明だが、オレは夢を食べるときにも味覚が働いた。幸せな夢は甘くて美味しいし、悪夢は苦かったりえぐみがあったり、あまり食べたい味ではない。とはいえ栄養になることは間違いないので、引き当ててしまったのが悪夢だとしても食べるには食べるのだが……まぁ、できることなら遠慮したい味だ。夢を食べるデメリットはずばり、そのヒトの夢に触れるまで味の推測が難しいことだった。
     では、夢を食べないという選択肢があるのかと言われれば、悲しいかなサキュバスの血も混ざっているオレにはあるのだ。夢を食べないならば、必然的にもうひとつの食事方法を取ることになる。つまりは、精液。ただ、いかんせんオレは男なのであまりその手の食事はしたくなかった。────だって精液を飲むなんてもちろんのこと嫌だし、尻の穴にナニを突っ込むのも痛そうだろう、普通に。

     日中は最低限の人間の食事をして、夜になったら本来の食事にありつく。路上で眠る若人がいないときは、翌日昼寝をしているポケモンたちに頼ることもあったが、それを嫌がられたことはないから食事に困った経験はなかった。
     今までもずっとこんな生活だったし、これからもこんな生活が続くと思っていた。
     ────ひょんなことから恋人という存在ができてしまう、その日までは。
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