Lupinus 会場から出ると、夜だった。
一歩、踏み出した村雨は、ふと、空を見上げる。視線の先、紺碧の夜空に、丸い月。
明るく、いっそ、眩い。星の光さえかき消すように、白く黄色い灯が真っ直ぐに届く。
満月か……と、だけ呟いて。視線を下ろし、家路を歩く。
今日のゲームも、好調だった。
こちらの診断は外れることなく的中した。当然の結果、ではある。
対戦相手は手酷いペナルティを受けていたようだが、村雨の預かり知るところではなかった。
今日も、無事に、生還した。
大切なことはそれだけで……と、考えて。何をらしくない、と苦笑する。
ああ。少し、疲れているかもしれない。
ふと。前方を向いていた視線が脇に逸れる。何か、に誘われた。のかもしれない。
2025