「ちっちゃくて気づかなかったわ」
「蹴るぞお前!」
高校の廊下、時間はもう放課後になっており、今から部活動に行く生徒や帰り支度をする生徒、帰る様子もなく友達と話している生徒もいた。先程の会話をしていたリュカとユアンは、それぞれスポーツをしていた。リュカはフェンシング、ユアンはアーチェリー。お互いに選手として成績を残しており、こうやって軽口を叩き合いながらもプロになろうと約束もしていた。約束するほど仲がいいのかなど言うと、二人は口を揃えて『それはない』と言うのだが。
「お前、この前の大会優勝しただろ」
「俺様負けねーしな」
自信満々にそう答えるリュカを見ていると、本当に負けない気がする、と呆れつつユアンは時計を見る。
3693