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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
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    ちょこ

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    アイドラ小説
    九重先生と時雨の話

    時雨は人気のない校舎裏へと行っていた、手には時雨がお気に入りにしている和菓子屋の包みが。時雨は実は甘いものが好きなのだが、アイドルをしていた頃甘いもの好きなの似合わない、との一言を気にしてしまい、それから今の今まで周りには”甘いものが嫌いだ”と言うようになった。だが時雨が甘いものが好きと知っている相手には口止めをしている。そこまで気にしなくてもいいのにと言われるし自分でもそう思う、と思いつつこうして人気のないところに行ってはこっそりと甘味を食べるのだ。
    校舎裏に着いて箱を開ける、中身は美味しそうな豆大福だ。時雨はこのお店の豆大福がお気に入りだ。なんといっても粒あんの甘さが時雨好みなのだ。少しだけ笑みを零れつつ手に取って食べた時、声をかけられた。
    「あれ、時雨センセ?」
    「……んぐっ……!」
    この声は、と豆大福を吹き出しそうになりつつ何とか飲み込み声をかけられた方へむく。そこには九重が居た。手には煙草と何か小さな紙袋をもって、まさかここに人が来るとは思わず思わず目をそらす。九重は時雨の持っていた箱の中身をみて、自分の持っていた紙袋をちらりとみて話しかけた。
    「時雨センセ、1つお願いあるんですけど」
    「……お願い?」
    なんだろうかと時雨が見ると、九重は紙袋からなにか小さな箱を取り出して差し出した。時雨はなんだろうかと受け取る。綺麗にラッピングされた箱を見ていると九重は口を開いた。
    「それチョコレートなんですけど食べてくれませんか。………時雨センセ甘いもの好きだったんですね。嫌いって聞いてたんですけど……」
    「……あー……まぁ……」
    「それで時雨センセ、時雨センセがここで豆大福食べてたのも、甘いもの実は好きだったのも黙っておくんで、代わりに俺がチョコレート貰った時食べてくれませんか。俺苦手なんですよ、チョコレート」
    「………」
    まさか相手からそう言われるとは思わず時雨は思わず考え込んでしまった、黙ってもらえるのは正直ありがたい、今手にしてるチョコレートの箱も、ラッピングからして中身は美味しそうな気がした。そもそも、相手がいる時ならコソコソせずに食べなくてもいいということだ。甘いものが食べれるのなら──時雨は少し笑って九重を見る。
    「……いいですよ、そのお願いのります。黙ってくれるのはありがたいので」
    「交渉成立、ですね」
    どこか嬉しそうにチョコレートの箱を開けようとしている時雨を横目に九重は煙草を吸おうと咥えるのであった。
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