また後日「巳神先生、俺の親友が見つかりました」
いつもの定期検診、琥珀は巳神に採血やらいつもの様に検査をされている時、そう呟くように言った。巳神は無免連にも関わらず、琥珀の親友である創の事を探すと協力してくれていた。カルテにペンを走らせていた音が止まり、巳神は琥珀の顔を見ていた。琥珀からしたら、相変わらずの胡散臭い笑顔のように見えた、そんな気がした。
「おや、親友さん見つかったんですか」
「えぇ、三年前と変わらず……髪は短くなってましたけど」
シャツのボタンを止めながら淡々と話す琥珀。琥珀は少し黙ったあと、言おうか迷っていたが、隠してもしょうがないため巳神に話を続けた。
「それで、親友が巳神先生に会いたいらしくて」
「おや、そうなんですか」
「……あいつ曰く、『俺の生存信じてくれた相手にお礼参りする!』……だそうです」
「面白い親友さんですねぇ、別に構いませんよ」
今からでもいいんですけど、という巳神の言葉を無視して琥珀は後日、親友を連れて巳神と会う約束をした。自分が言えた立場ではないが、創も創だ。まさか巳神に会ってみたいと言うとは思わなかった、琥珀が思わず呆れたようにため息を吐いた時、巳神先生が言った。
「あぁ、だからですか」
「……なにがでしょうか」
「いや、貴方が検診に来る回数、減っていたもので」
巳神からの指摘でそういえば、と琥珀は口元に手を当てた。そういえば薬を飲む量が減った気がする。回想死因のフラッシュバックでさえも、自分の影の中にいる相棒が悪夢を追い払ってくれたりしていた。
色んな要素が重なっているからか、薬の服用も少しずつ減っていた。だからといって女性恐怖が治っているわけではないので、そこは薬のお世話になっているわけだが。
「検診に来る回数減ってても、巳神先生は毎日連絡するでしょう……」
「普通ですよ」
三分以内に返信しないといけないどこが普通なのだろうか、琥珀はその言葉を飲み込みつつ、巳神から薬を受け取る。
──また薬の種類が変わってるような気がした。