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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
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    高月交流

    よその子さんお借りしてます

    ##高月

    本当に大事にしたかったものは ない、あのリボンがない。
     いつも無表情な冬星の顔色が変わる。いつも髪に結んでいるリボンがないのだ。朝から結んでいたはずなのに、はらり、と横髪が視界に入って気がついたのだ。解けないように強く結んだというのに、一体どこに落ちたというのか。
     冬星は来た道を引き返し、キョロキョロと署内の床を見る。だがリボンが落ちている様子はない、一体どこに落としたというのだろうか。とても大切な、自分の命よりも、それ以上にも大切なものだというのに。

    「……」
     最悪な予感をして顔を真っ青にさせる。見つからなかったらどうしよう、と手が震えた。自分の大好きで大切なあの子の唯一のものだというのに、その時、後ろから声をかけられた。
    「冬星くんじゃん、どうしたの」
     その相手の声を知っている、冬星は恐る恐る顔を振り向いてその相手───祀の顔を見た。冬星にとって祀はどこか胡散臭く、いつも笑ってる顔を見るが、その笑ってる顔が仮面のように思えて、正直に言うと苦手だった。
     けれど、一度だけリボンの事を馬鹿にされて相手に手をあげようとした時、止めたのは祀だった。その時は署内だから、と言われてしぶしぶ辞めたが、後からやるなら上手くなりな、とも言われた。
     その縁かは知らないが、自分に人間の急所や、やられたら痛い所を教えてもらい、いわゆる体術を教えてもらうようになった。体術に関しては家柄の都合で教わってはいたのだが、それでも祀を転ばせられなかった。いつもおしい所までいって、いつの間にか自分が地面に倒れてる。その繰り返しだった。

     冬星はそれらの事があっても、祀には一度もリボンの事を話さなかった。話す必要性がなかったのもあるが、それでも相手は何も聞かなかった、その対応が、冬星にとってはありがたかった。
     相手に頼ってもいいのだろうか、いや、いつも無表情だというのに今の顔を見られたからには、誤魔化しが聞かないだろう。いつも結んでいるリボンが見えてないだけで、相手は察しているに違いない。上手く言えるだろうか、冬星は震える口をなんとか開けて話す。
    「……リボン、落として……」
    「落ちたところ目星あるの?」
    「……まだ署内に来たばかりだから……。……っ」
    「なるほどねぇ」
     そう言って祀は床を見始める、一緒に探しているのだろうか。黙って祀を見ていると、相手は不思議そうに冬星を見る。
    「あれ、探さないの? 大事なもんなんでしょ」
    「……向こう探します」
     どうやら一緒に探してくれるらしい、冬星はそう言うと、祀のいる場所より離れたところまで歩き、探した。探しつつ、ちらりと祀を見る。なんで探してくれるのだろう、分からない。相手のその好意を甘えていいのかすら分からない、何も聞かないま祀にも、そんな相手に頼った自分にも。そんな時、肩を叩かれた。
    「見つかったよ、これでしょ」

     祀が手に持っていたリボンをみて冬星は目を見開く。祀が言うには、どうやら風かなにかに飛ばされて椅子の下に潜り込んでいたと。冬星はやっとやっとでお礼を言い、リボンを受け取ろうとしたが、祀から髪を触られる。そして結ばれた。
    「大事なものはちゃんと持っとかないと、本当になくしちゃうよ」
     そして頭をぐりぐりと撫でられた、本当は誰にでもリボンを触られたくないはずなのに、見つけてくれた祀にでさえ、そう思っていたはずなのに、だからリボンを受け取ろうとしたのに。拒絶できなかった冬星が居た。その言葉を聞いたからだろう。
     大事なもの、もちろんリボンの事だ。けれど、本当は、リボン以上に大事な存在があったのだ。あったのに、守れなかった。本当になくしてしまった。もうあの子はいない。
    「……本当に大事にしたかったものは、僕の知らないところで無くしてしまいました」
     口から勝手に出た言葉は、泣きそうな声だった。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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