お伽話の続きを【オル相】 会合というのは非常に面倒臭い。勿論情報はあるに越したことはないが、それと面倒ごとに巻き込まれる心労を天秤に掛けたらどちらが下がるか。
答えは平行線のまま、相澤は今夜他人と恋人のふりをしてとあるパーティーに参加を余儀なくされている。
他人と恋人のふりをするのは特に何の問題もない。特にこんなパーティー会場においては、別に軽く腕を組んで時折パーソナルスペースを無視するように近づいて髪についたゴミを取るような仕草をするくらいで済む。薬物や手が早い下世話なパーティーならばもっと現場はえげつないし、品のいい恋人のふりなどはそもそも求められない。
「今日のパートナーが君で良かったよ」
初老の紳士は白髪を染めて隠す気はないらしい。相澤は雑踏に掻き消されるだろうに、更に周囲に聞こえないような大きさでどうもと素っ気なく返事をし、車を降りてドアを開けるとエスコートのために手を差し出す。しかしながら、紳士はその手を取ることなく車から降りた。年齢の割にしっかりとした体格、相澤とさほど変わらぬ身長の男は宙に投げ出されたままの相澤の手を自分の肘に絡めるように回させた。
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