はぁ、本当にどうしたものか。ヴォックスと付き合って以来とても大事にされているし、彼にはなんの不満もない。無いのだが、こんなにたくさんの愛情を貰っている自分は何か返せているだろうか。いつもヴォックスに言葉を、行動を通して沢山それをもらっている。でも僕は呪術師で他人に感情を返す方法なんて呪いしか知らないのだ。僕には勿体無い量の愛を貰ったって僕はなんにも出来ない。一度考え始めればどんどん暗い方へ思考は進んでゆく。何もできない僕なんかより、キラキラして華やかで可愛い女の子の方が彼にはお似合いなんじゃないか、そんなことまで考えてしまう。嗚呼!そうだ。いっそ、いっそ
「ヴォックスが僕のことを嫌いになったらいいのに」
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