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    EqgCh0

    @EqgCh0

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    ミオさんとジルオ君の話。
    キユイちゃんがお熱出ちゃったけど治った〜あたりの話です。

    なんだかよく分からなくなってボツ供養にします。
    もっかいメイアビ見直してきます〜アビス信仰難しい〜

    最も恐ろしいことについて「アビスが恐ろしくはないのですか?」
    キャラバンの薬師、ミオはずっと聞きたかったことをつい口にした。その質問を向けられたのはベルチェロ孤児院の職員であるジルオ。キユイの面倒を見ていた彼は、質問をした彼女をそっと見据えた。ここはキャラバンの船内。謎の熱の病に侵されていたキユイを救うため、アビスから一旦離れた訳だったのが、まるで呪いかのようにアビスから離れるとキユイの体調は頗る良くなったのだ。
    「あっ、すみません。ずっと不思議に思っていたのでつい聞いてしまいました。不躾な質問をしてしまいましたね。」
    何も言わないジルオに我に返ったミオは自分の行為を謝罪する。いくら危険な職業とはいえ、彼の職業である探窟家を侮辱するに値する質問をしたと自覚した。いや、本当に聞きたかったことではあるが。果たしてこれは聞いて良いものなのかと気を揉んでいたのだ。しかし、キユイのこの体調不良がアビスによるものでは無いかという可能性が捨てきれない上、上昇負荷という恐ろしいアビスの呪いのことも多少なりとは知っていたので聞かない訳にはいかなかった。
    「いや、確かにそうだなと少し考えていただけです。すみません」
    口を噤んでいたジルオは申し訳なさそうにミオにそう弁明する。機嫌を損ねてしまったのではないかと思っていたミオはほっとして胸を撫で下ろす。
    「恐ろしくないといえば、それはきっと嘘になるでしょう」
    まだあどけなさが残る青年は眠ってしまったキユイの寝顔を優しげな表情で眺めながらぽつりと言った。
    恐ろしくないはずがなかった。いつ襲ってくるか分からない深海生物、全く整備されていない荒れ放題のアビスの中、そして何よりも恐ろしいアビスの呪い。そんなものを恐れない人間がどこにいる。それはミオにも分かってはいたが、何がそこまで探窟家をアビスへ誘うのかが分からなかった。
    「……私は今までキャラバンで様々な地域を渡り歩いてきました。この世なのかを疑ってしまうほどに美しい花畑、透き通るように美しく、広大な湖、どこまでも続く山脈。どれも夢のようで実在しているものです。そこに行くにも危険は無く、簡単に行ける。それなのに探窟家の方々は、何故そのような場所ではなく、あえてアビスへ飛び込むのですか」
    〖 ラストダイブ〗というものがあることもミオは耳にしたことがあった。何故、そこまで命を賭けられるのか。命あってのアビスへの興味では無いのかと、人を看取る場面も多い薬師は思った。
    「……アビスは、みつかって随分なるのに殆ど謎に包まれています。未知なものがわからないものが、あるから俺達探窟家はアビスを目指すんです。湧いてくるんです、興味が。知りたいことが。だから怖くても、新しいものが見つかると嬉しくて、帰りの上昇負荷で死にそうになっても、またあの未知が解明できるんではないかとアビスへ潜ってしまうんです。」
    アビスは信仰だ。未知なものを神に仕立て上げ、アビスで死んでもアビスに還るという半ば現実的ではないものなのだが、アビス自体がそういうものだから成り立っている。アビス信仰の死を終わりとはしないという考えが、探窟家をアビスへ誘うのでは無いのだろうか。
    「もしアビスで死んでもアビスに還ってまたいつか会えると思っています。それに俺は、アビスの謎を何も解き明かさないまま死ぬほうが恐ろしいんですよ」
    ジルオはミオの方に直ると、胸元の月笛の証をそっと撫でた。ミオはメガネ越しその青年の青く輝く瞳を見ながら本当に不躾な質問をしてしまったと思った。死など怖くないのだ。きっと探窟家は既に呪われているのだ。アビスに魅入られてしまったという、呪いに。
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