ラムネと指輪とお前「結婚指輪ほしくないですか?」
「ほしくない」
えーと不満の声を上げて、沖田は土方の膝の上でゴロリと転がった。七月も三週目に突入して、気温はどんどん上がっている。冷房をつけるかつけないかという瀬戸際だ。人と人とがくっついていれば勿論暑い。
「つーかお前、今見廻りじゃね?」
首に伝う汗については何も言わない土方だったが、膝上の男のサボりについて言及する。
「新婚だから別にいいよって近藤さんが」
近藤の言いそうなことである。土方は顔を顰めた。
「言ってくれるんじゃねーかなと」
「言ってねーのかよ‼︎」
思わずツッコミを入れると、沖田はうつ伏せになって土方の腰に手を回した。隊服の上着は脱ぎ捨てられている。いつもより装甲が薄くて良い。猫のようにぐりぐりと頭を擦り付ける。
1893