きみはきれい 都会には星がないと言っていたのは誰だろう。少なくとも僕らの中にはそんなことを言う人はいない。だって、僕らはみんな都内に住んでるし。
空なんて、まして夜空なんて見る機会がなかったから星がないと言われれば昔の僕は信じただろう。でも今は違う。星がないのなら、珍しく遅くなった帰り道から眺めるあの頼りない光はなんなんだろう。
崩れかけたクッキーのような脆い光だ。頼りなくたって、光が弱くたって、完璧ではない成り損ないだって、確かにそこにいるのに。
とはいえ、理解はしてる。価値がなければ存在していたってないのと同じだ。誰の視界にも入らなくなって、はいさようなら。そんなこと、僕が一番わかってるのに。
「本物の星って、なんだろう」
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