相棒の恋を応援してやりたい。相手を知るまではそう思っていた。
相棒が誰か一人をずっと想っていたことは知っていた。彼がそこまで想うのだから、相手はきっと素晴らしい方なんだろうと。いつか教えてくれるだろうかと。
相手は本当に素晴らしい方だった。俺もそう思っていた人だった。
知った今でも変わらず、涼しい顔で「それでも俺は応援してる」なんて言葉を吐いている。
世間的に許されない恋を否定しない俺に安堵する相棒を見ると、当たり前のように嘘を吐いた自分自身に嫌悪感が湧く。
それはいけない感情だ。その恋は成就してはいけないものだ。
だって二人は姉弟だろう。
言ってやりたい。言って傷付けてやりたい。俺の言葉で傷付けばいい。
そしてその恋を捨ててしまえばいいのに。
姉弟という関係に正しく縛り付けられろ。姉が他人と恋人になって結婚する様を側から見て正しく喜べ。
それが普通の、
世間的に正しい、
理想の姉弟像だろう。
こんな呪詛のようなものを考えているなんて、相棒は思いもしないんだろう。許されない恋を応援してくれる優しい相棒なんて思っているに違いない。
友情と恋慕と憎悪がないまぜになったこの感情をどうすればいい。この醜い心をどこに仕舞えばいい。どこに捨てればいい。
だって。
俺も絵名さんのことが好きだったのに。