逸る心逸る心
「あっ藍湛だ」
俺は離れた所に昔と変わらず無表情で立っている男が視界に入って近づこうとして足を止めた。
藍湛の周りに数人の門下達が集まっていた。
俺から見ると、周りの奴らが一方的に話をしていて藍湛はただ相槌をうっているだけにしか見えなかった。
「相変わらずだなあいつは」
「おい、剣また忘れたのか魏 無羨」
不機嫌そうな江澄が俺の様子を睨みつけながら言いながら魏嬰の視線の先を追った。
「別に模擬戦と剣技を披露するとかないから良いだろう。喧嘩を売られたら陳情で相手をするよ」
魏嬰は腕を組みながら視線は藍湛に向け江澄に返事をする。
「お前な、何を見てるんだ・・ってまたあいつかよ」
「江澄は藍湛を何故目の敵にするんだ」
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