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    chigyo_yr

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    chigyo_yr

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    マクダノSS(ってほどでもない)

    「チャーリーに聞かれたよ。どうやったら赤ちゃんって出来るのーって」

     運転中、ダニーが深刻そうな声音と表情で話し始めた。
     一瞬、笑みが溢れてしまいそうになるのをっぐと堪えて「何て答えたんだ?」と彼を一瞥する。決まってんでしょ、と言わんばかりに眉が浮く。

    「何てって……、パパとママがえっちしてだよー、なんて言えると思うか? 普通だよ、普通。普通の家族が普通に教えるふうに教えた」
    「だから何て」
    「コウノトリだよ。好きな人同士が愛し合ってたら、コウノトリさんが運んで来るんだって教えた。ルートまで聞かれたからモスクワからホノルルまで七時間掛けてチャーリーの事運んでくれたの、ってGoogleマップ見ながら説明してやったよ」

     もうダメだ。そう思って盛大に笑ってやった。幸いにも赤信号で車は止まっていたため、大事には至らなかった。
     笑っていると、横から鋭い視線が飛んでくる。あー悪い、と言って未だ口角を上げながら謝るが、奴の機嫌を直すにはいささか足りないだろう。

    「お前さ、笑っちゃいるけど聞かれた方はひやひやすんだからね。それに、」

     ダニーが口をつぐむ。
     変な所で区切るな、気になるだろ。それに、なんだよ。
     信号が青になって、車の列が動き出す。ダニーに続きを促すが、どうにも躊躇われる。
     何だ、子供の出来方以外にも気不味い質問をされたのか?
     横で、ダニーが口を開く気配を感じた。

    「……俺とお前にもコウノトリさんが赤ちゃん連れてくるねって言われた」

     ダニーが悲鳴を上げた。どうやら俺は急ブレーキを掛けていたらしい。
     後方の車がクラクションを鳴らしながら次々追い越して行く。
     お前いきなり止まるなよ、追突されたらどうすんだ、これ俺の車なんだぞ?!と、最もな苦情を叫び散らすダニーと向き合った。何だよと言わんばかりに、奴の表情が強張る。

    「何て答えたんだ?」
    「……何が」
    「俺達のところにもコウノトリさんが赤ちゃん連れてくるねって言われて」

     饒舌のダニーが珍しく押し黙っている。しかしあの顔は、もう一押しすれば滑落する表情だ。
     すっと、ダニーの顔に触れてもう一度問い掛ける。
     何て答えたんだ。

    「……そ、そうだね、って言った」

     ああ。ああ。ダニー、ダニー、ダノ、ダニエル。
     思わず抱き締めてしまいそうになった時、ここが車中である事に気付いた。同時に、路肩に寄せているとはいえ公共道路のど真ん中である事も。
     しかし、どうしたものか。今、ダニーにキスをしたくて堪らない。猛烈に。何なら、座席ごと押し倒す事もやぶさかではないが、これはダニーの車であるし、きっとそれは許されないだろう。
     しかし、しかし、いやしかし。

    「今夜うちに来い」
    「なんで」
    「子作りするため」

     はあ?と言いたげな視線が向けられるが、痛くも痒くもない。
     タイミングを見計らって車を発進させた。
     バカか、アホか。男同士で子供なんか出来るわけないだろ。そもそもお前、子作りって……えろオヤジじゃないんだから、っとにもう……。
     ダニーがまたぶつぶつと何やら呟いているが、その顔は日焼けしたみたいに真っ赤だ。
     今日は、と言うか今。最高に気分が良い。きっと今日は今からどんな凶悪犯罪が起こっても、犯人を生かして捕らえられる気がする。それもこれも、ダニーの愛息子であるチャーリーのおかげだ。



     って言う話。
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