本気⑧ 完保健室を出て、悠仁と肩を並べて寮へ向かう。
元気に話す彼を見れると、大きな絆創膏が頬に貼ってあるだけで、四肢には全く問題なさそうだ。
「悠仁が大怪我したって聞いたけど、なんか…そんな…大したことなかったんだな」
「ん?別に大怪我なんてしてねーよ?頭打って家入先輩に見てもらっただけだし、釘崎と伏黒ももう部屋戻ってるし、みんな大怪我って程の怪我はしてねぇけど」
ケロッとした悠仁を見て、察した。
"大怪我"したというのは傑が話を盛っていたことに。そして、硝子もたぶんグルだ。
「なるほどね」
「あ!そう言えば、夏油先輩がさ『悟が来たら渡して』って言ってた手紙あるんだよ」
悠仁は制服のポケットから、小さく折り畳まれた紙を俺に渡す。
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