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    aneniwa

    @aneniwa
    マイハン♀ミドリさんの話しかしません

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    aneniwa

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    既にくっついてるナカアヤです
    いつも通り捏造まみれです、ボウガンの作りとか適当ぶっこいてます
    ルビ機能を使ってみたかった

    怪我の功名 陽が落ち切った。じわじわと暗くなっていく空に時折目をやりながら、集会所の2階にてナカゴは今日1日の帳簿を纏めている。細々としたことに良く気付く頼れる相棒のコジリは、行燈に火を入れた後、奥に引っ込んで素材や工具の整理をしてくれている。こちらの作業には目処が付いたし、コジリの方もじきに終わるだろう。今日も一緒に家に帰れそうだ。そう考えながらナカゴが筆を置いた時。

    「まだいる?」
    「……アヤメさん!」

     音もなく入り口の暖簾を分けて顔を出したのは、狩りを終えて戻ってきたアヤメだった。
     彼女の姿を認め、ナカゴの目元が一気に蕩ける。普段はやや素っ気ない態度の恋人が自らやってきたというそれだけで、顔の周りに花を咲かせてふわふわにこにこ、ご機嫌で彼女を迎え入れた。
     しかしアヤメの方は、終業間近の恋人を迎えに来たという風情ではなく。むしろ仕事を増やしに来ていた。

    「終わりかけに悪いんだけどさ、預けちゃっていい?」

     と言いながら背に負ったボウガンを下ろして寄越す。即座に職人の表情に戻ったナカゴは、受け取った武器を一目見て、何かに気づいたように小首をかしげ、持ち上げて確かめ、……苦笑してアヤメを見上げた。気付かれたか、とアヤメもまた肩をすくめて口角を持ち上げる。目元だけがほんの少し苦そうに歪んでいた。

    「……受け止めましたか」
    「やっぱり分かる?……昔の癖が抜けなくてね」

     アヤメが持ち込んだ軽弩は、常ならば地面側に向いていて傷付きにくい筈の下部、発射機構を保護するフレーム部分がひん曲がっていた。横手から繰り出される攻撃を避けきれず、咄嗟にボウガンを持ち上げて受け止めてしまったものらしい。元大物使いらしい失敗だった。

    「アヤメさんは、怪我は?」
    「アタシは無傷。これさ、ぱっと見中身の方は歪んでないみたいだけど、一応そっちも見てくれる。弾は出たんだけど」
    「分かりました。機構の方に問題なければ、明日の夕方にはお渡し出来ますよ」
    「頼むよ」
    「そろそろ分解点検オーバーホールの時期ですから、どこかで3、4日師匠に預けて下さい」
    「分かった。……ん」

     狩人と加工屋の会話が終わったところで、アヤメはふと、ナカゴの左手に巻かれた包帯に目を留めた。

    「何それ、怪我したの?」

     今度はナカゴがバツの悪そうな顔をした。若々しく皮膚の張った額に皺を寄せて、自らの左手を見下ろす。

    「……これですか。あー、」

     快活な彼にしては珍しく、言い辛そうに言葉を濁す。男として生まれついた身、惚れた女性に対して張りたい見栄のひとつも持ち合わせているのだが、……物的証拠を既に見つけられてしまっているので誤魔化しようが無い。

    「……朝方、槌でやっちゃいまして」
    「アンタが仕事道具でトチるなんてね」

     自身の手を見つめて悔しそうに失敗を白状するナカゴを、アヤメの黒い瞳が光を湛えて見下ろした。そこには揶揄いの他に、彼の持つ技術に対する敬意も含まれているのだが、落ち込むナカゴは気付いていない。

    「修行時代ぶりです……。久しぶりに師匠に怒られましたよ」
    「ふーん。今日来る?」
    「へぁ?」

     会話の飛躍に驚いて、肝心の内容が頭に浸透するまで時間がかかった。相手の理解を待たずに、アヤメはわざと視線を逸らし澄まし顔のまま言葉を続ける。

    「慰めてあげるって言ってる」
    「…………!?」

     ぱか、とナカゴの口が開く。
     それを視界の端で捉えてアヤメは、悪戯が成功した子供のような顔で一瞬だけ笑った。かと思えばパッと腕を伸ばしてナカゴの頭に巻かれた手拭いを奪い取り、無関心を取り繕った横顔を見せて、スタスタと歩き出す。

    「来るなら、アタシの気が変わらないうちに来なよ」

     と口では選択肢を与えながら、右手の指にぷらぷらと、人質ならぬモノ質を引っ掛け。現れた時と同じように静かに、彼女は暖簾の向こうに姿を消した。

    「………………………」

     ナカゴは彼女を見送って、まだ口を開けたまま固まっている。その背後から、出るタイミングを窺っていたコジリがひょこりと顔を出した。つんつん、と爪の先で肩を突かれ、その刺激で我に帰ったナカゴは、途端に締まりなくふにゃふにゃと机に突っ伏して呻いた。耳どころか、うなじまで真っ赤になっている。

    「コジリ、僕今日、夕飯いらない……」
    「……ニャ」

     ややあって腑抜けた声で呟いた相棒に対し、コジリは神妙に頷いて、そっと彼の分の手荷物を隣に置いてやった。

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