💜💚です「っ、ハァ…ハァ…フーッ…」
ソファから苦しそうな声が聞こえる。息は絶え絶え苦しそうである。外は晴れていてさわやかである今日に、カーテンは閉められ薄暗いため、余計に不安感を引き立たせる。呼吸困難になっているのだろうか…?いや、これは…苦しそうに「我慢」しているらしい。大袈裟に息を吸っては吐いてを繰り返す人物の正体は…
マットであった。しかも、吸血鬼になっているように窺える。しかし、目は赤くなっていないし顔色もすごい蒼白といった様子では無い。だが、人には見られないような鋭い歯や尖った耳を見ると、吸血鬼を思わせる。そんな吸血鬼マットが「我慢している」ものは…無論、「血液」であった。
以前、マットは吸血鬼になったが、最終的には陽の光を浴びて爆発してから元の人間に戻ってしまい、普通の生活が戻ってきた。はずであったのだが、時折、その名残なのか血が欲しくなる時がある。しかし、道行く人に「血をください」なんて言えるほどマットは頭がおかしくない。そう考えると同居人の血を吸うのが妥当だが、以前彼らはマットを殺そうとしたため、マットはあまり彼らに半吸血鬼になっていることを知られたくなかった。それに、この欲望はいつもあるわけではないし、別のことに集中したり、昼寝をしたりするとかなり紛れることが多かったため、マットはあまりこの問題について深く考えてこなかった。
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