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    kirche_is_dcst

    @kirche_is_dcst

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    千ゲ生産業。左右相手完全固定。千左固定。カプ固定だけど主人公総攻めの民なので千は全宇宙抱けるとは思ってる。逆はアレルギーなので自衛。
    基本フェチ強めのラブイチャ。ワンクッション置いてるけど時々カオスなものも飛び出します。
    受けの先天性・後天性にょた、にょたゆり、パラレル、年齢操作やWパロもあり。みさくら、♡喘ぎ多め。たまにゲがかわいそうなことに。(要注意案件はキャプションに書いてます)
    最近小説AIと遊んでます。
    一時期特殊性癖チャレンジをしてた関係で触手とかなんか色々アレなやつもあります。

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    フォロワーのすさん(@snykalbum)のお誕生日に書かせていただいたすさんのお宅のちいさい千ゲちゃんたちのお話

    「 ……よいしょ、っと」
    引越しの際、新調したばかりのダイニングテーブルに、買ってきたものを広げる。
    小麦粉、ベーキングパウダー、砂糖にバニラエッセンス。生クリームと、真っ赤ないちご。あとは、晩御飯用に特売の明太子と、ちょっと奮発した純米酒。
    それから、リビングに色とりどりの花を生けて、リボンで飾った。
    今日は、アナタにとって、一年に一度の特別な日だから。
    帰ってくるまでに、しっかり準備をしておかないと。
    「 おう、どうした?」
    慌ただしく駆け回っているのが気になったのか。書斎にこもっていた千空が、本を小脇に抱えたまま、こちらに歩いてきた。
    「 あっ!ちょうどよかった!千空ちゃんも手伝って〜!」
    「 大掃除も正月も節分も終わったろ?何そんな慌ててんだ?」
    「 そうだけども!今日はね…… 」
    耳元に唇を寄せて、ごにょごにょと内緒話のように囁くと、千空は得心したようにわらう。
    「 あ"〜、なるほどな。そりゃ大事だわな。……んで、何手伝う?」
    「 えっとね、このテキストの分量どおりに材料量ってほしいの」
    テキストを差し出すと、一通り目を通して。千空は手際良く材料を測り始めた。
    その間に、ホール型を用意してバターを塗り、苺のヘタを取って、半分を薄切り、半分をそのまま別容器に分ける。オーブンを余熱で温めて。
    テーブルに戻ると、全ての材料が完璧に計量されて順番に並んでいた。
    「 ついでにメレンゲ作っといたぞ」
    「 えっ!ジーマーで!?千空ちゃん、ありがとう♡」
    「 牛乳とバターはレンジな。出す時火傷すんなよ」
    そう言って、ミトンを手渡してくれる。
    普段は家のことにはあまり手を出して来ないが、困っている時。手を貸して欲しい時。
    本当にピンポイントに、必要な手を貸してくれる。千空のそういうところが、とても好きだ。
    作ってくれたメレンゲに薄力粉をふるい落として、ゴムベラでサックリと混ぜる。
    ちょうどいいタイミングで、レンジが鳴って。温まってきた牛乳と溶かしバターを加えて更に混ぜた。
    気泡を抜きながら、型に流し込んで。
    180℃のオーブンで30分。
    その間に、シロップの材料を火にかけて。
    アルコールが飛んだところで、器に移して冷蔵庫に入れた。
    あとは生クリームと砂糖をボウルに入れて、氷水で冷やしながらホイッパーで攪拌する。
    7分立てまで攪拌したら手を止めて。
    半分を絞り袋に移した。
    しばらくすると、あまい香りとともにオーブンが鳴って。取り出した型からスポンジを取り出し、粗熱を取って、デコレーションしていく。
    冷蔵庫から取り出したシロップを塗って、ヘラで生クリームを広げると、薄切りの苺を花びらのように敷き詰めた。その上から、もう一度生クリームを塗って、スポンジを重ねる。スポンジ全体にクリームを塗って。
    絞り袋で、かわいらしくクリームを絞り出していった。トッピングは苺と銀色のアザラン、抹茶パウダーを少々。チョコプレートにデコペンでメッセージを書いて完成だ。
    ケーキを丁寧に箱にしまって、冷蔵庫に入れると、次は夕飯の支度。
    買ってきた明太子を食べやすい大きさに切って、大葉を巻いて爪楊枝を刺す。
    ボウルに天ぷら粉と水を加え、さっくり混ぜ、気泡がないのを確認して衣を作った。
    いつも通りなら、ちょうど出来上がりくらいが帰宅タイミングのはずだ。……少し、待つ。
    ソワソワしていると、隣からティーカップが差し出された。
    カップには、青いお茶が注がれている。
    「 わ、キレイ」
    声に、見てろよとわらって。
    千空はレモンを一滴、カップに絞った。
    果汁が広がるにつれ、カップの中の液体が紫色に変わっていく。
    「 えっなにこれ」
    「 ククク、バタフライピーだ。……花に含まれた青色色素のテルナチンが、酸性の強いレモンを加えることで化学反応して紫になる」
    唆るだろ?と笑う千空に、彼は彼でこの日をちゃんと覚えていて、準備をしていたのだと悟ってうれしくなった。
    「 まあそれはそれとして、テメーの色だ。先に味見くらいしてもバチは当たらねぇ」
    そのまま飲んでもいいが、蜂蜜を加えても良いらしいと聞いて、オススメの飲み方を試してみる。やさしい甘さに、ほうっと息をついた。
    「 これ、ゴイスー美味しいね♡」
    「 ジーマーでバイヤーだろ?」
    悪戯っぽく笑う千空と顔を見合わせて、くすくすわらってしまう。
    時計を見ると、そろそろ時間。
    先ほどの明太子に衣をつけて、120℃くらいの油でサッと揚げて盛り付けていく。白菜のおひたしにだし巻き卵、冷奴と煮物の小鉢を用意して。おろしたての徳利と盃、買ってきたばかりの酒を脇に置いた。

    この新居は、おおきなおおきな建物の一画にあって、音がよく響くから。
    いつもの、どこか機嫌の良さそうな、ゆったりした足音もよく聞こえる。
    二人でぱたぱたと、足音のする方に向かうと、広いリビングにぱっと灯りがついた。
    そちらを見上げて、ふたりでせーの、と声を揃えて言った。

    「 お誕生日、おめでとう!!!」
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