Amulet「 ……おい、これも持ってけ。テメーの分だ」
司帝国潜入前夜、千空は彼を呼び出してそう告げた。
差し出されたのは、一振りの短剣。扱いやすいよう、柄には皮が巻いてある。
「 うーん、気持ちはありがたいけど、俺はいいかな〜。この通り、戦闘力は低いし武器の扱いにも慣れてないからさ」
そう言って受取を辞退しようとするが、千空の表情は変わらない。
「 クロムにもマグマにも、同じものを持たせてある。……安心しやがれ。別に、テメーにそれで戦えとか、誰かを傷つけろって言ってるわけじゃねぇ」
そこで、一旦言葉を切って。
「 それは、テメーの身を守るためのもんだ。……ナイフの使い道は、何も武器だけじゃねぇ。
使い方はテメーの判断に任せる」
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