可愛そうに、という感情が心の底から湧いてくる。
この状況になった原因は、きっと私が彼に出会った当初、好奇心から話しかけてしまったのが原因なのだろう。目の前に転がった茶色い布の塊を見下ろしながら、哀れみの目線を向ける。
彼は試合が始まった直後に己の眼の力を最大活用して、私の元に走ってきた。それはもう、一目散にという言葉がよく似合う。それほど近い位置にいたわけでもないのに、私が一番近い位置にスポーンしたサバイバーを見つけるよりも先に私の目の前に現れた。
そのまま、体当たりするかの如く、突進してくる。だから、思わず殴ってしまった。正面から真っ直ぐ飛んでいった霧を占い師は避けることもせず身に受け、そのまま真っ直ぐ駆け寄ってくる。硬直もないまま、大きく肥大した左手が彼を切り裂いた。真っ赤な血を流しながら、地へと伏した彼を見て、どうしたものかと動揺してしまう。
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