セイマボ幸せif 01ギギ、と軋んだ音を鳴らし火花が枯れた地面を焦がす。爆発音と甲高い悲鳴と嗚咽のような声は、地面と同じように息をしていない草木を震わせした。血肉の焦げる臭いと火薬の匂いが混じったような刺激臭があたりを充満させる。その匂い、あるいは今の状況(はたまた彼女自身に置かれている身内からの悪意によるストレスなどもあるだろう)に限界を感じたのか、ウィスルは握っていた剣を落とし、我慢できないといった風に地面に嘔吐した。胃液特有の酸っぱい匂いが、さらにもとの空気の悪さを加速させる。泉の水が入った水筒を彼女に渡し背中をゆっくりと擦りながら、黒ずんだ地面と未だに勢いつかせる炎の海の前に立つ男の背中を見つめた。
彼は、悪魔にしては、まだ、人としての愚かさを捨てきれていない男なのだと思う。
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