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    しまねこ

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    しまねこ

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    人狼ジャミ(17)と保護研究員カリ(25)のジャミカリ妄想劇場(脳直妄想に色々追記したもの)
    前半
    ジャミがぜんぜん喋らない代わりにモブがいっぱい喋る

    人狼ジャミル世界にはまだまだ知らない生物がいる。
    人狼という種族がいる。人間の姿に狼の耳と大きなしっぽ、人と獣が混ざりあったような容姿。
    目撃情報はいくつかあるが、初めて目撃されてから数年、未だにその生態は謎に包まれている。
    UMAの類では?と思われるかもしれないが、実は目撃情報だけではなく目の前に現れて対話を試みたらしい、映像記録が残っている。
    その記録には意思疎通を図るも睨み合いの後、森の中へと消える人狼の姿が映っていた。

    そんな人狼を研究するチームの中にカリムはいる。元々は鳥獣保護の仕事をしていたのだが、引き抜かれて研究チームに入った。
    カリムは元々動物に懐かれやすい特殊体質で、保護した獰猛な野生動物もカリムが声をかけるとたちまち大人しくなり"百獣の王もひれ伏す"、"睡眠薬要らず"などと言われてちょっとばかり有名人であった。
    そんな噂を頼りにカリムを引き抜きに来たのだから一言で言えば変わり者集団であるし、カリムもカリムで人狼と仲良くなって友達になれたら面白そうだよな!と二つ返事で話を受けたのだから変わり者の一人である事は間違いない。
    人狼のものであろう痕跡は見つかるものの、中々進展がない日々。それでも職場は明るく、カリムの打ち解けやすい陽気な性格からすぐにチームに馴染み、仕事も程々に楽しい時間を過ごしていた。

    転機が訪れる、捜索班から怪我をしている人狼の雄を発見したとの情報が入った。
    何とやり合ったのかは分からないが出血が酷いらしく、傷が深いためか逃げることは無さそうだという。しかし動けない傷を負いながらも近付くのは危険と分かる程の殺気で威嚇し、保護して手当をしたくとも見ている事しかできないのでどうしたらいいとの事だった。
    チームに緊張が走る、やっと訪れた転機をそう易々と逃してなるものか。
    ただ捕獲するだけでは無い、相手は人狼という未知の生物だ。先の事を考えたら無理矢理は得策とは言えない、そんな事もあろうかと最終兵器を用意したのだ。
    やっとオレの出番だな!とカリムは得意気に笑ったが事の詳細を聞くとまるで自分が傷を負ったかのように顔を歪ませた。早く助けてやらないと…カリム達は早急に現場へと向かった。

    現場は一触即発の空気で誰も動くことが出来ずにいた。なるべく刺激しないようにと気を付けてはいるものの、人が増えたからか人狼は唸り声をあげ敵意をあらわにした。
    そんな重苦しい空気の中、カリムは緩やかに微笑みながら人狼に自己紹介を始めた。
    「はじめまして、オレはカリム。ずっと前からお前に会いたかったんだ。」
    人狼は唸るのをやめない。言葉が通じているのかも分からない。それでもカリムは人狼に声をかけ続ける。
    大丈夫、オレはお前と友達になりたいんだ。このまま死んで欲しくない、その傷を手当させてくれ。お前の髪、すごく綺麗だ。牙も爪もしっぽも大きくてかっこいいな。もっと近くでよく見せてくれないか?
    時間が刻々と過ぎてゆく。人狼は唸るのをやめたようだが警戒は解かない、獣の耳を伏せたままじっとカリムを見ている。
    血は止まらず流れ続けているようで、身に纏う民族衣装のような服がじわりじわりと赤く染まっていく。あまり時間が経過すると失血で死んでしまうのでは?チームに不安がよぎるがカリムの声は変わらず穏やかで優しいものだった。

    動きがあった、人狼は耳を立てて辺りを警戒しつつもゆったりとカリムに近づいてくる。
    ほら、大丈夫だぞとカリムが緩く片手を差し伸べると、目は合わせたまま指先をふんふんと匂いを嗅いでいる。人の形をしていてもその様子はまるで臆病な犬と一緒だ、少おかしくなってふふと笑うとキッと睨まれた。
    「ああ、御免な?そんなつもりはないんだ。」
    とにかく、その傷を手当させて欲しい。遠くで見るとあまり分からなかったが近くで見れば顔色は相当悪い。
    傷を見ようともう片方の手を動かすと、何かされると思ったのか牙を剥き出しにして唸る。
    「怖いよな、でも傷を見せて欲しいだけなんだ。大丈夫、俺を信じろ。」
    じっと目を見てゆっくりと話しかけると、人狼は唸るのをやめて緩く瞬きをした。まだ警戒はしているようだがとりあえず大丈夫だろう。
    そっと触れるとヒヤリと冷たい、早く手当をしなければ。カリムは手先が不器用なので手当の技術は今ひとつだ。チームの医療担当に合図を送り少人数で応急処置を行ってもらう。
    人が近づくと唸りはしないが体が強ばる。もう威嚇する体力も無いのかもしれない…カリムが優しく撫でながら大丈夫だと声をかけ続けるとぐったりともたれかかってきた。意識が無いのか見た目よりもずっしりと重たい。
    止血はしたがすぐさま運び出してきちんとした治療をしなければ…危険な状態なのには変わりない。
    「このまま死なないでくれ…っ。」
    カリムは力の無い人狼の手をぎゅっと握り続けた。


    その人狼と出会ってから2週間後、人狼はカリムの部屋にいた。
    人狼に向かって人狼!と呼ぶのもおかしいのでその容姿の美しさからジャミルと呼ぶことになった。
    目を覚ましたのは保護し治療を受けてから一週間後、やっと意識が戻った!と喜んだのも束の間でジャミルは飛び起きて身体に繋がれた様々な機器やチューブを引っこ抜き、またもや血塗れになりながら部屋中を暴れ回ってめちゃくちゃにした。それはもう嵐が来たような有り様で、その中で怪我ひとつせずにいたカリムは凄いなオレ…と己の幸運さに驚嘆していた。
    落ち着いたというか、ひとしきり暴れて最終的にベッドの下に潜り込んで唸っているジャミルにカリムがまた声をかける。
    「病み上がりだし一時は死にかけたってのに、よくそんなに動けるよなぁ〜ジャミルは凄いやつなんだな。」
    普通の人間なら起き上がるのだって無理だろうに。危機的状況下の野生動物は何をしでかすか分からない、ジャミルの行動もそれに近い気がした。
    一週間寝て忘れちまったか?ゆっくりと手を差し伸べると保護した時のように指先の匂いを嗅いでぺろりと舐めてきた。
    「思い出してくれたか?ちゃんと手当してやるから出てこいよ」
    ベッドから少し離れて、散乱した物を退かしながら座って両手を広げる。少し間を置いてからジャミルがそろりと出てきてカリムの目の前で止まる。耳をくりくりと回してあちこちの音を拾っているみたいだ、どのくらいまで聞こえているのだろうか。ぴんっと耳を立てジャミルが扉に向かってまた唸り始める。
    「うん?どうした?」
    しかし、次第に唸るだけでなく殺気を放つジャミル。
    「お、おい…あんまり怖い顔するなよ、大丈夫だからさ」
    誰もお前を傷つけたりしないんだから。そう言ってそっと肩に触れてもジャミルは扉に向かって威嚇を続けている。
    コツコツ…足音が聞こえる、チームの奴だろうか、近づいてくる。このままでは扉を開けた瞬間ジャミルが飛びかかるかもしれない。咄嗟に扉に鍵をかけて叫んだ。
    「入ったらダメだっっ!!!」
    その声にチームの奴も何かあったのを察したのか慌てた様子だ、ドア越しに状況を伝える。
    「オレは大丈夫だ、でもジャミルが暴れて血まみれでっ…」
    部屋がめちゃくちゃなのも伝えたら本当にお前大丈夫なのか?早く部屋から出ろと強めに心配されたが、扉を開けたらジャミルがどう動くか予想ができない。
    背を向けて居ても襲いかかってこないところを見るとカリムには危害を加えないのは間違いない。本当に大丈夫だと伝えて処置の方法を聞きながらたどたどしい手つきで出血箇所を手当していく。もう血は止まったようだが、また暴れ出したら…。今までにも手当をしてきた動物たちも恐怖で暴れて可哀想なくらい血まみれになるのを見てきた。
    「無理したらまた血が出るからな?オレが守ってやるから安心してくれよ」
    ジャミルが落ち着いて過ごせるようにオレ頑張るからな。撫でようと耳の近くに手をやるとふいと避けられてしまったが、他の場所は触っても平気なようでぽんぽんと子供をあやすように軽く触れるとふわりと尻尾を揺らした。

    病室をめちゃめちゃにしたジャミルはベッドだけ置かれた何も無い個室に移された。オートロックでIDを打ち込まないと扉は開かない、監視カメラが着いているので中の様子は別室で確認ができる。食事は小窓から、ユニットバスでトイレとシャワーがついているが使い方が分かるとは思えない。
    カリムが世話をすると進言したが、病室の有様から危険と判断された。その病室から個室にジャミルを連れていったのはカリムの筈なのに、その時は大丈夫でも今後何も無いとは限らない。担当として任せるが、なるべく接触は控えるようにと身を案じる意見にカリムは口を噤んだ。

    ジャミルが個室に入ってから何も口にしていない。正しくは目が覚めてから、だ。食事を運んでも近づくこともせず、ずっとベッドの隅で縮こまって監視カメラを睨んでいる。
    1日、2日、3日…カリムが声をかけるが、目線をふと向けるくらいですぐ戻してしまう。このままじゃ衰弱していく一方だ。
    「ジャミル…お願いだ、水だけでも飲んでくれ…」
    コップにつがれた水を飲んでくれるよう祈りながら置く。
    窓の前でずっと待ち続けたがジャミルはその日もベッドから降りることは無かった。

    「このままじゃ貴重な人狼を見殺しにする事になる、ジャミルはオレが面倒を見る」
    ジャミルに安心してくれと、守ってやると言っておきながら何も出来ていない自分に腹が立つ。
    現にジャミルは慣れない環境に放り出されて不安で疑心暗鬼になり全てを拒絶しているのだろう。ジャミルが唯一触れる事を許してくれた、自分が何とかしなくてはいけないのだ。
    ずっと何も口にせずにいるからもし襲われても大した事にはならない、何かあったらその時は自己責任で誰のせいでもない。必ず今後の研究に役立つようにオレが何とかしてみせるから、それまでオレに任せて欲しい。
    周りもこのまま見殺しにするのだけは避けたいという思いは同じで、反論はされなかった。ジャミルがあんな酷い怪我しても今生きていられるのはアジームが居るおかげだよな、と誰かの一声で確かにそうだ、それならアジームに任せようという雰囲気に変わる。
    アジームをチームに入れたのは俺の責任だから何かあればちゃんと相談しろ、とリーダーは笑って背中を押してくれた。

    飲まず食わずでいたジャミルは案の定ギリギリで生きているような状態で、抱き起こす事にもほぼ抵抗せず、最初に出会った時よりも軽くなっているのを感じた。カリムの部屋は空いていた2人部屋を1人で使っているのでそこそこの広さがある、あまり物も置いていないので暴れて散らかしても大した事じゃない。個室での様子からなるべく一緒の方がいいよな、とシングルベッドを2つ並べて一緒に寝れるようにした。
    「オレが守ってやるって言ったのに…何もしてやれなくてごめんな」
    ふんふんと身の回りの匂いを嗅ぐジャミル、コップに水をついでほらと差し出すが差し出された水とカリムを交互に見るだけで手を出そうとしない。
    「なんで飲んでくれないんだ?本当に死んじゃうぞ…ほらこうして」
    こくりとカリムが水を飲む、何も変なものは入ってないんだ、もしかしてコップから飲んだこと無いのか?こうするんだぞ。とにかく、同じように飲んで欲しい。
    再度差し出すとふんふんと匂いを嗅いだ後にごくごくと飲み始めた。急に勢いよく飲んだからかゲホゲホと咳き込んでいるが、やっと飲んでくれたことが嬉しくなってぼろりと涙が出てきた。
    「っっじゃみっ!よかっっ〜〜〜!」
    急に泣きだしたカリムにびっくりしたのかジャミルはギョッと驚いたような顔をしていたが、カリムから流れ落ちる涙を勿体ないとでも言うようにぺろぺろと舐めた。


    その後のカリムの献身的な世話のおかげでジャミルは順調に回復しているようだった。
    コップから初めて水を飲んだ時と同じように、食事もカリムが一口食べないとジャミルは手をつけようとしない。それだけでなくカリムは元々少食で、食べ損ねることも度々あったのだがそれをジャミルは見ているのか。カリムが食事をしないとジャミルも食べなくなってしまい、今は一緒に食事をとるようになった。
    ジャミルは頭が良く、一度教えたことをすぐに覚えた。言葉はいまだに話す様子はないが、なんとなく言っている事を理解しているように見えるのでいずれ会話する事も夢ではないのかもしれない。
    まずは一緒に生活する所からとを指をさしながら教えたり、実際にして見せたり。さすがにトイレの仕方を教える際は少し恥ずかしかったけれど、その後シャワーからお湯を出して見せたら毛を逆立ててシャワールームから飛び出したので悪い事をしたと思うのと同時に頭が良くても犬猫と一緒でシャワーが苦手な事がおかしくて笑ってしまった。


    傷も完全に塞がったが依然としてジャミルはカリム以外を寄せ付けなかった。カリムがジャミルの傷が塞がり生活に問題ないと報告するとチームから自然観察に切り替える予定だと告げられた。
    ジャミルに小型の発信機とカメラを付けさせてもらい元いた場所に帰す、野生動物の生態調査でよく使われる手法で人狼の普段の生活を知るならそれが1番手っ取り早い。
    早速技術担当からチョーカー型のカメラを渡され、これをジャミルに付けるよう頼まれた。のだが、部屋に持ち帰ると頑なに拒絶された挙句壊されそうになった。
    これを付ければ森に帰れるんだぞ?とあれやこれやで分かって貰えるよう説明したが全然ダメで…ジャミルは帰りたくないのか?と聞いてもベッドの上からテコでも動かないという姿勢になってしまったのでもう少し様子を見ながらにしよう…と言う話に落ち着いた。

    「アジームさん最近ちょっと獣臭くないですか?」
    これで何人目だろうか、原因は分かっているのだが解決策が見つからないのでカリムはごめんな〜と苦笑いで返す。
    自室に帰るとジャミルがすりついてくる、家庭で飼育されている犬猫にも見られる匂い付けの行動だ。
    とはいえ相手の体格はカリムとほぼ変わらずその上筋肉質なので重量感がある、少し勢いよく来られるとすぐ押し倒されてしまう。
    それでもカリムにとっては大型犬がじゃれつくのと一緒で、よしよしと撫でてやれば気持ちよさそうに目を細める姿は可愛げがあるし、ジャミルが満足すればすぐ離れていく。
    狼は上下関係がハッキリしている生き物だ。治療した際の身体調査でジャミルは17最前後だろうという話からカリムより年下なのは間違いない。しかし力関係でカリムが下だと見なされれば年上も年下も関係無い。匂い付けは上位の存在が下位の相手にするもの、つまりジャミルもカリムの事を下に見ているのかもしれない。それか、単に甘えているだけとか…。
    自分が原因の匂いというものは案外自分自身では気付かないものだと改めて感じる。と言うのも、カリムはその臭うというのが自分で全くわからなかった。
    風呂から出た時に何となく臭うかな?と思う事はあるけれど、その後ジャミルが擦り寄ってくると全然気にならなくなる。そもそも同じ部屋で過ごして同じベッドで一緒に寝ていても気にならずに過ごせている時点でわかるわけがない。
    ずっと野生動物と過ごす環境にいたから鼻がバカになってるのかもしれない。ジャミルが風呂に入って同じ石鹸の匂いで満足してくれたらみんなには迷惑かけないのだけれど…シャワールームから勢いよく飛び出したのを思い出して普段あまり使わない携帯の検索欄が水嫌い 犬 シャンプーで埋まった。


    「それ、番だと思われてるんじゃね?」
    「え………??いやいやいや、オレ男だぞ???ジャミルも雄だし、、、そんな事は無いと思うけど……」
    「人狼にもジェンダーレスの時代が来てるのかもな。」
    「いやいやいや????大自然の中で生きていく野生生物なのに???子孫を残していく本能はどうしたんだ?????」
    「しかし女性職員に懐くでもないし、いまだに引っ付いてるのはアジームだけ。仲間が居る森にも帰りたがらない。ジャミルは推定17歳、これから大人になる頃だなぁ?まぁつまりそういうことだ。」
    「いやいやいやいやいや!!!!!どういうことだ!!?????」

    匂い付けの行動もお前は俺のモノという意味合いがあるのでは?と言われて青ざめた。
    今までにも懐かれた生き物に求愛行動をされたり腰を振られたりする事はあった、確かにあったが…。
    「耳としっぽが生えた男に腰を振られてははは、かわいいな。で済むか????ちょっと難しくないか?????」
    「そうなったら抜くだけ抜いてやれば?狼は1度番になったら死ぬまで添い遂げる生き物だ、その時は頑張れよ。」

    いや何を頑張れと言うのか、冗談なのは分かってはいるのだがもしそうなってしまったら本当にまずいと思う。ジャミルがそう認識する前に森に帰るのが一番いいだろう、そこには番になるのに相応しい相手がいるはずだ。
    カリムの何が良くてジャミルが離れたがらないのか分からないが番だと思っているのならそれは完全に間違えている。
    このままではいけない。カリムは番にはなれないと、森に帰るように説得しなければ。
    雄同士で子孫はできない、それは本能的に分かるはずだ。それならば、雄である事をアピールすれば…?
    想像した行為に気分が悪くなる。未成年相手にいい歳した男が何を見せつけるつもりなんだと思うが、全部ジャミルの将来の為だ。嫌われるくらいの覚悟で挑まねばなるまい。
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