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    まるやま

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    まるやま

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    ダッシャーに初めてあったルドルフ

    ⚠️5巻までの知識で書いています。

    BNP/ルドルフ、カイザー、クネヒト「RUDOLPH。新しいDASHERを採用したよ」

    珍しく上機嫌なクネヒトが、声を弾ませながら少年を紹介してきたのは、もう四年前のことだ。
    その日はバレンタイン。
    とても寒い夜のことだった。

    「新しいDASHER.……?採用試験は?」
    「とっても適材だったから。すっ飛ばした」
    「……?」

    採用試験をすっ飛ばした?
    それは一体どんな人物なのかと周りを見れば、クネヒトの隣には、まだ少年に近い年頃の男が一人立っていた。
    不安げな表情。華奢な体躯に、痩けた頬。傷んだ金髪。首周りがたるんだシャツに、ダメージジーンズ。
    まさか、彼が?
    いや、彼では無いだろう。
    彼は泥除けというより、まだ泥を避けてやらねばならないような年齢じゃないか。
    では新しいDASHERはどこに?

    「きょろきょろしてるけど、きみはずいぶん視力が衰えたのかな?彼だよ」
    「えっ?」

    クネヒトが隣の少年の背を押す。
    とたんスイッチが入ったように、かたい表情をしたあと、彼は口をひらいた。

    「はじめまして。RUDOLPH 。今日からDASHERとして働かせてもらう、田中皇帝です。ご指導よろしくお願いします」

    予想に反してはきはきと挨拶を述べたDASHERは、ぺこり、と綺麗に頭を下げた。
    そのゆれる金髪の頭頂部が黒かったのを、今もよく覚えている。
    それが今も変わらない彼の頭頂部と同じ色合いだからかもしれないけれど。

    彼は初めて出会った時から、口調も仕草も、見た目よりずっと大人だと思う。

    彼を見て、ふと随分会っていない息子を思い出した。
    同じくらいの年頃の子。
    すこしだけ息子を重ねた。
    たぶんうちの子は彼より少し年上だし、似ても似つかないんだけれど。
    あぁ、あの子は元気にしているだろうか。

    「……ちょっとまて、クネヒト。彼はいくつだ?労働基準法は守られているのか?」
    「大丈夫。きみが心配してるような問題はまったくないし、よく働いてくれるし、もちろん素質も折り紙付きだよ」
    「……ならいいが」

    俺とクネヒトが話す間に、ゆっくりと頭を上げたDASHERへ、俺は手を差し出した。

    「ようこそサンタクロースハウスへ。DASHER」

    角を模したかざりの隙間から目があった瞬間、彼の瞳が大きく揺れた。
    それは戸惑いと、嬉しさの混じったような複雑な色をしながら揺らめく。

    「…………DASHER?」
    「……っ。すみません。知り合いに似ていて……あの、精一杯がんばります!よろしくお願いします!」

    再度呼べば、彼はスイッチがいきなり入ったみたいに体を動かしだすと、俺の手をあわてて握り返した。

    * * *

    そこから、彼と一緒にトナカイを務める日々が始まった。
    彼はクネヒトが言った通り、よく働いた。
    こと、三春のことに関しては。聞けば、三春に借りがあるという。

    「……──で、──だと考えています。解決策として──を実行しました。報告は以上です」

    いま俺に報連相を速やかに行うDASHERは、すっかり青年になっていた。
    随分DASHERの力にも、務めにも慣れたようだし、3年のうちに彼の身長も伸びた。髪も伸びたが、体は相変わらず華奢なままだった。あと、目の下のクマは一段と濃くなっていた。

    俺を見上げた彼の顔を見て思う。
    三春の影武者として彼が動いているおかげで、三春は守られている。
    本来ならば、父親である俺が、それをしてやるべきなのに。
    こんな青年に泥除けをさせてしまっている。

    「……ありがとう、DASHER」

    気がつけば、無意識に彼の頭を撫でていた。
    DASHERがゆるやかに目を見開いていく。
    彼のわりと大きめの目玉が転がり落ちそうなほどに。

    しまった。頭を撫でるなんて行為は、成人男性相手にするようなものではなかった。

    「す、すまない」
    「いえ!だ、大丈夫です!初めて撫でられたので、驚いただけで……すみません」

    何故か彼のほうまで謝ってきたけれど、嬉しさを一切隠さない顔で彼ははにかむように笑っていた。
    年相応に……いや幼ささえ感じる顔で。照れくさそうに、彼は笑っていた。

    頭を撫でられることが、はじめてだって?
    ああ、そうか。たしか彼の父親は……──

    眩しいくらいに嬉しさを滲ませるその笑顔を、俺は我が子同様守りたい、と思った。
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    1939