しるし「ひっ、ぐ、う…」
チク
針を刺して、肉を抉らないように。
けれど、浅すぎて皮膚がちぎれないように、糸を通す。
金色に光る目からは水が溢れた。
けれど、それを拭う気力はもうないらしい。
ゆっくりと伝っていって、ポタリと落ちた。
ふぅふぅ と浅い呼吸を繰り返して指を噛む。
針を刺す度に身体をピクリと揺らすのが可愛くて、愛おしい。
完成してしまうのが寂しいような気さえする。
「もうすぐだよ。」
そう言って笑う顔のあどけなさと、瞳の奥に宿る欲のどす黒さがミスマッチで、こんな怪物を生んだのは誰だと、顔もわからない「誰か」を恨みそうになる。
「ぅ、ぐっ… 」
「ははっ 喋れないか。痛い?」
痛いに決まっているだろう。
何故そんなに楽しそうに笑えるんだ。
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