今週末は土日祝の三連休。ふたりとも仕事の用事とか舞い込まずに済んだから、じゃあもう外出の用事も入れずに家でふたりでダラダラしようって決める金綱。
お互い明言してないけど、ふたりとも「セッも沢山するぞー」の意気込みで居る。ちょうどここ最近お互い忙しくてご無沙汰だったし。
でも金曜夜に仕事疲れが祟って体調崩しちゃう綱。
普段よっぽどじゃないと風邪すら引かないから「なぜよりによって今……」って内心めちゃくちゃ悔しがるし、金時に心から「すまない……」って謝る綱。
金時は綱を責めたい気持ちなんて微塵もないし、綱がそうやって申し訳なさそうにしてるのは自分も悲しいからなんとか穏やかに安らかに療養に専念して欲しい思って、「休みがかぶっててちょうどよかったぜ！みっちり看病してやっから！大船に乗ったつもりでガッツリ寝ててくれよな！」って笑う。ほんで薬とかうどんとか必要物資の買い出しはなるべく短時間で素早く済ませ、料理や洗濯もそのつど素早く済ませ、あとは綱のとなりにつきっきりでいてくれる金時。
綱は金時の献身が染み入るように嬉しくて、ありがたくしっかり休んで療養に専念する。

結果、月曜祝日の朝にすっかり快復する綱。
快気祝いでお昼はピザとかお酒とか解禁しちゃう。
デカいソファに並んで座って、テレビを見るともなしに眺めながらのんびりする。

金時がおもむろに綱をよいしょって持ち上げて自分の脚の間に座らせる。やぶさかでないのでされるがままに座り、ふんぞり返って金時にもたれる綱。
そこから更に15分。
綱の腹あたりに置かれていた金時の手が、ニット越しに綱の胸筋をさわさわ撫でる。
綱は目を閉じて、ニット越しの金時の大きく暖かい手の感触を追う。

そのうち金時の手がニットの下に潜り込んでくるものと綱は予想したが、一向にそうはならない。
はて。と目を開けて振り向く綱。金時は赤い顔で困ったようにあさっての方向を見てる。
「……オイラが言うのもなんだけどよォ……。
　兄ィ……無防備すぎっつーか……。……オイラに甘すぎねぇ……？」

金時を甘やかすのは好きだが、今甘やかしているつもりは全く無かったので、頭上に疑問符を浮かべる綱。
金時がそう言うに至った経緯を暫し考えて、自分が昨晩まで療養していたことに思い至る。

「……ふむ。つまりは……。『病み上がりなのだから自分を大切にしろ』、とか、『恋人が不埒なことをしてきたらはねのけるくらいしろ』、とか。そういうことを言いたいのか？」
「……ｵｳ……。いやまぁマジでオイラが言うことじゃねーなって思ったからアレなんだけどよ……。大体まぁ……そんな感じっつーか……。」
「そうか。うん。そうか。」
うん、と、執拗に頷いてから、綱は身体ごと金時の方を向き、膝立ちで金時の上に乗り上げた。

「正直に言えば、昨日やおとといの時点で「俺を抱け」と言いたくもあったが、お前を困らせるだろうと思って、言わずにおいた。」
「ﾌｧｯ……？？？？」
「金時。重ねて言うが、既に俺の体調は万全だ。
　ピザも食える。酒も飲める。
　セックスも、出来る。」

ごくりと唾を飲み、それでも固まったままでいる金時。
綱は、(やれやれ、いつまでも世話の焼ける)って内心でぼやきながら、ふっと笑む。

「抱いてくれ。金時。
　少なくとも、俺は、お前に抱かれたいと思っている。」

一拍おいて、わざとらしく首をかしげて、「まぁ、お前が気乗りしないなら、無理にとは言わんさ」って笑う綱。
金時は、(言わせちまったなァーー)って後悔して、次はちゃんと俺から言おって心に決めて、ガバッと綱を抱きしめる。



追記１
薄布一枚越しに乳首をかりかりひっかかれて、ひく、ひく、と肩を震わす綱。指の腹や舌とは違う固い感触に息を詰める。
(布越しとはいえ、爪だ。短く切られているとはいえ、……)まで考えて、急に、「金時がいつも爪を短く切り揃えている意味」のことが脳裏にバッとよぎって赤面する綱。

追記２
基本的に体温高そうだし冬でも手とかぬくそうな金時。
でもその日はちょっと冷たくて、綱がそのことに大層びびって「お前ともあろうものが……！？どうした……？！急病か……？！」とか深刻な顔で言う。「ちげぇって！さっき皿洗ったからよ！それだけだって！」って必死で弁明する金時。(綱の家の台所には湯が出る蛇口がついているが、なまじ体温高い金時はわざわざお湯に変えるの億劫で年中水使ってる)