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    鶴田樹

    @ayanenonoca

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    鶴田樹

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    むうむうさんからリクエストいただきました!

    【ルーチンワーク】

    「なぁ、それここでやる意味あんのか?」

    呆れ顔の豊前江の横で桑名江はルーチンワークの筋トレを黙々とこなしている。

    爽やかな汗をかきながらマシンと向き合う恋刀は「毎日こつこつやることに意味があるんだよぉ」と相当の負荷にもかかわらず顔色ひとつ変えていない。

    さらには「いつどこで何があってもいいように身体と心を仕上げておくのが本多家の刀だからねぇ」と豊前の仏頂面にも全く動じていない。

    けれど豊前は「だとしても!さすがに今くらいはいいだろ!!」と心の中で叫ばずにはいられなかった。

    なんせ今は主公認、しかも全額官費での慰安旅行の真っ最中だからだ。

    それも高級リゾート地、モルディブの海中ヴィラだぞ?!

    今なら!!本丸の仲間に遠慮することもなく!!のんびりしたりイチャイチャしたり!!優雅にセックス三昧だってできるってのに!!!

    苦い思いを奥歯で噛み締めている豊前に桑名は声色を変えずに言い放つ。

    「いつもはやりたいことやればいいよって言ってくれるのに?」

    「そりゃそうだけど…!」

    確かにみんなやりてーことやりゃーいいんだよと言うのは俺の口癖でモットーだ。

    だけど桑名にはそういうのを越えた感情を抱いてしまった訳で。

    だからこそ桑名に恋刀になって欲しかった訳で。

    つまり俺にだってやりてーことはあって、それは桑名を独占して終日イチャイチャしていたいってやつで。

    更に言えば俺はひと目を憚らず桑名とイチャイチャしたかったから畑に桑名を取られない、海以外なんもないここを選んだわけで…。

    バカンスと密室の併せ技、これしかない!と思って今ここにいるというのに。

    「完全に誤算だった。」

    そう、ここはセレブ御用達の高級リゾート地。“だからこそ”屋上階にフィットネスジムまでが完備されていたのだ。

    そりゃ確認しなかった俺だって悪ぃけど。

    でもよ、海中ヴィラのパンフレットを見た瞬間これしかない!って思っちまったんだよ。

    広い部屋の真ん中に大きなベッドがあってさ。

    四方も天井も、床以外全部アクリルの透明な板でできててさ。

    そのどこまでも透明な壁や天井の向こうで絵の具を溶かしたような碧の中を魚達や時にはサメなんかが自由に泳ぎまわっててさ。

    あー。こんな中でずっと桑名といれたら幸せだろうなって。

    そう思ってここに決めたのに。

    「なぁ、本多家直伝筋トレメニューってあとどれくらい残ってんの?」

    ほとんどため息混じりになったのは、俺の中のイチャイチャしたい欲がパンッパンに膨れ上がっていたからだ。

    桑名は相変わらず顔色ひとつ変えずに淡々と答える。

    「もうすぐ終わるよ。あとこれの重りを左右に50ずつ足して100セット。あとは3時間くらい…

    「そんなに待てねぇって!」

    セックスすれば運動量としては十分かな」

    「へ?」

    今、桑名なんつった?

    余程間抜けな顔をしてたんだろう。桑名は俺の方を見て「力入らなくなるから面白い顔やめてよお」と笑う。

    「だからもうちょっとだけ待っててね。」

    おあずけ食らったってのに、あれだけ膿んでいた俺の気持ちは完全に彼方へと流されていった。

    そして念願のイチャラブセックスは8時間くらい続いたから、今度は「いっぱいセックスしたから今日の筋トレはなしでいいんじゃねーの?」って提案してみようと思う。
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    recommended works

    NanChicken

    MOURNING結局らくがき漫画にして上げたたぬ歌まんがの元にしたSSを供養
    文章のほうがセリフいっぱい入れられるところがメリットだねぇ
    「ったく、ついてねぇ。追いつかれるぞ」
    本丸への転送ポイントまでもうあと少しというところで、同田貫は来し方の空を振り仰いだ。天空まで立ち上がり広がった鉄床雲の先からゴロゴロと響く重低音は、雨の到来を告げている。
    「お前さんがが寄り道なんぞするからだろ歌仙」
    言われた方は平然として
    「あの店のは絶品なんだよ」
    と応えた。
    あっさり済むはずの短い遠征。夕立の前に帰れる筈だった。
    ポツ、ポツ、と地面に染みが描かれる。
    「ああ、もう来やがった」
    みるみる強くなる降りに、ふたりは急いで大樹の木陰に逃げ込んだ。通り雨ならばいずれ上がるだろう。
    歌仙の手の内には、竹皮で包まれた硬豆腐。江戸への遠征の帰り道、これまでも時折食卓に上ってきたそれは、豆腐にしてはしっかりした歯応えを持つ、古いタイプの食材だった。
    「戻ったら、木の芽の味噌で田楽にしようか。君の好物だろう?」
    「呑気なもんだな」
    そういえばいい酒もあったな、と同田貫が思った刹那、閃光で周りが真っ白になった。
    落雷か?慌てた瞬間に目に焼き付いた見覚えあるシルエット…敵大太刀それは確かに歌仙のすぐ向こう側に立っていた。
    瞬時に眩さは去り、暗反 1314