夜の厨「「あ」」
深夜の厨で水心子正秀と源清麿は偶然顔を合わせた。
「新選組刀との飲み会はもうお開きか?」
「うん。ほとんどの刀が酔い潰れちゃったからね。堀川国広と長曽祢虎徹と一緒に酔っ払いたちを寝かせて部屋を片付けてそれがさっき終わったところ。水心子は?」
「わ、私は……」
水心子は目を逸らすもすぐに清麿と向き直った。
「……の、喉が渇いたから水を貰いに来ただけだ!」
「……本当は?」
じっ、と清麿は親友の顔を見つめる。
「……ほ、本当にそれだけだ! 新々刀の祖である私が小腹が空いたからと言って深夜の厨へ何か食べるものを探そうと足を運ぶはずなどないからな!」
強い口調で言っているが腹の虫が鳴く音が僅かに聞こえた気がする。清麿は微笑んだ。
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