4:00「クソ審判どこ見とうそれはファウルやろ〜〜〜」
ソファに転がって天井を仰ぐ。続くフリーキックが決まり頭を抱えた。
「ほら明らかに削りにきとろーもん」
「賑やかだな」
「えー起こしちゃいました うるさかったですねすみません」
まだ空が白みもしない午前4時、リビングのソファでひとり悶える俺のもとに炎司さんが起きてきた。
「声はうるさくない。空気が騒々しい」
そのまま俺の隣に腰を下ろすもんだから驚いてしまう。眩しそうに目をしかめながら動く気配はない。
「一緒に観てくれるんですか ワールドカップ」
死のグループでジャイアントキリングをかました日本の第3戦。ラテンの赤い悪魔を万が一にも下した日にはまさかの予選リーグ突破だ。
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