迎えを待つ手紙と迎えに行ったビの話ビヨ♀戦争後
ヨは男装していた、ビはヨが♀だとは知らない
ヨ自身は出ません
逸る気持ちを抑えられずビーマは風神の加護まで使って何度も往復し木の配置もぼんやり覚えてしまった森の中を疾走していた
戦争が始まるもっと前、従兄弟として連れてこられた場所は豪華で美味い物が沢山あったがその前は森で暮らしていたため少し、窮屈であった
兄弟達の基準で接していたが他の人間と違い自身は怪力らしく自覚があまり無かった故によくものなどを壊したりしていた
周りから少しずつその力を恐れられるようになり
距離を置かれ五王子の次男として、と身の振り方の話を聞かされ、従兄弟達からも邪険にされ始めていた時1人で静かに過ごしたいと世話係や自分以外がいる自室などゆっくり出来ず飛び出して目的地も無しに走っていく
少し離れた森に気がつけば佇んでいた
森の更に先の方から風に乗って花の香りを感じた
奥の方に花畑でもあるのだろうかと足を進める
背の高い草を掻き分け進んで行き開けた場所へ出るがその目に花畑は映らなかった代わりに
木々の合間から流れるそよ風に柔らかく靡く藤色を
目に焼き付くような明るい紅紫色を
木漏れ日を浴びたような暖かな花の香りを
まるでその姿、その仕草で人を墜落させることが
使命だと思わせられるような美しい少女を魅た
間違いなくそれは己の一目惚れ、初恋だった
息抜きで向かった森で思いもよらぬ出会いをした
この出会いを、少女を逃したくないと何とか声をかける聞けば少女の方も息抜きで少し前からここへ通っているという
頻繁には来れないが気が休まると、しかしこの場所はお前に知られてしまったから場所を変えるなんてしょんもりした顔をされてしまった
困らせたい訳では無い、咄嗟に
内緒にする誰にも気付かれ無いようにするからまたここであって欲しい、と叫んでいた
勢いが強すぎたらしく周囲から鳥の慌てた羽音や小動物達の草を揺らす音が聞こえてくる
漸くして静かになりいきなりの爆音に
驚いていた少女がふはっ、と息を吐いたと思えば
必死すぎかと笑い始めた
確かに必死過ぎる、恥ずかしさで、少女の笑うその顔も可愛いらしくて、頬が熱くなる
失敗した、落ち込む顔を見た途端抑えられず叫んでしまったかっこよく名乗って、少女の名前を聞こうと思ったのに