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    yunappu63

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    yunappu63

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    2020年11月2日にぷらいべったーに投稿した
    光秀姫×帰蝶さんのお話。

    #イケメン戦国
    #帰蝶
    noddingBack

    「捕らわれの白姫」帰蝶さんに攫われてから、
    3週間ほど経ったように思う。
    連れてこられた場所は、南蛮との商館のようで、
    この時代にはそぐわない、西洋の家具ばかりが
    部屋にも廊下にもあちこちに並べられている。

    この商館は、1階が応接室とお店になっていて、
    2階が帰蝶さんの部下の人達の部屋があるらしく、
    私がいる3階は、帰蝶さんや元就さんなど
    今回の戦に大きく関わりを持つ
    人達の仮部屋があるらしい。

    織田軍に狙われている以上、
    主な活動場所は移動する他ないため、
    本拠点を構えてはいないようだ。

    わたしは、ここ3週間で帰蝶さんが何を思って、
    この大規模な戦を起こしたのか、
    その目的を知ることができた。

    『誰しもが生の重みを尊び、
    命が簡単に散ることのない世の訪れ』

    それが、帰蝶さんの目的だと。

    「どうした?」

    「あ、いえ……」

    今、私が座っているソファの横には
    昼餉を持ってきてくれた帰蝶さんが
    何の感情も見せず、座っている。

    どうやら、邪魔だから殺す。
    という訳でもなく、どうしてここに居るのか、
    段々と分からなくなっていく一方なのだ。

    「帰蝶さんは、ちゃんと休んでいますか?」

    「なんだ、藪から棒に」

    突然の私の問いに、
    珍しく帰蝶さんは驚いたように目を見開いている。
    最近、ところどころ
    こんな姿を見るようになった気がする。

    「だってほら、
    帰蝶さんの目元のクマすごい酷いですから……」

    その目元に自分の指を添えて、そっとなぞる。
    帰蝶さんの顔色は青白く、そしてそのためか
    目元にあるクマがよく見えている。
    だからこそ、見ただけでも不健康そうなのだ。

    「……光秀に教えてもらわなかったのか、
    安易に男に触れてはならないと」

    「え……?……あっ」

    スっ、と首筋に顔を埋められたかと思えば
    晒された首元に歯を立てられ、
    ぢゅっと吸い上げられる。

    「帰蝶、さんっ!」

    なんで?どうして?
    そんな思いが、思考が、私の頭の中に大きく残る。
    こんなこと、するような人ではなかったはず。

    「ん……そこはっ」

    そう、唇が触れている部分は
    よく見える場所だった。
    こんなことをされたと光秀さんに知られたら、
    愛想をつかされるだろうか。
    嫌われてしまうかもしれない。

    そう思って、身をよじろうとしても、
    大の大人の男性相手には私の力なんて非力だ。

    ああ、どうしよう。
    まだ光秀さんの元に戻れる確証はないけれど、
    もしも、この痕が残ったままだったら……?

    「分かったか?」

    「え……?」

    スっ、と首筋から顔を上げた帰蝶さんが、
    間近の距離で私を何の感情もなく見つめている。

    「安易に男に触れるな。
    そうすれば、このようなことをされるぞ」

    そう言って、帰蝶さんは呆然とする私を置いて、
    私に用意された部屋から出て行ってしまった。





    そうして、誰もいなくなった部屋で。
    私はこれから先、どんな顔をして光秀さんに
    会えばいいのか分からなくて、不安になって、
    もしかしたら、嫌われてしまうのだろうか。

    そんなことを考えていれば、
    無性に泣きたくなってしまう。


    「今は……今は、良いよね?」

    私は溢れてくる涙を堪えずに、
    ただ静かに後悔の涙を流し続けた───。


    【the end】
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