月光薄暗い船室の中。
丸く切り取られた窓の向こうは強い日差しが照りつけて、覗いてみても水平線と雲ひとつない空しか見えない。日差しに弱い俺はそこら辺の板で窓を塞いだ。
何日か前に赤道、ってところを渡ったらしくて、蒸して空気は悪いし揺れもひどい。
あまりいい切符は買えなかったが個室なだけマシだ。何ヶ月も飲まず食わずで人間の中に放り込まれるのはたまらない。騒ぎを起こすと海へ突き落とすとユアンに言われているから、一人も食べてない。褒めてくれよな。
乗船して何日経ったのか……ちゃんと数えておけば良かったな。
「ユアン、起きてるか」
白いシーツの上で金髪に向かって声をかける。返事はないが少し動いたので意識はあるらしい。
ユアンは乗船した日からずっと、狭いベッドで俺に背を向けて壁側に向かって眠り続けている。船酔いがひどいらしい。普段からちゃんと食事をしておかないからそうなるんだぞ。
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