【クリ想】私達のbaiser バレンタインが終わるまではと逢瀬をしばらく我慢していたから、久しぶりのオフにクリスを自宅へ招いた想楽は待ちきれずにクリスの膝に乗った。
「――想楽……」
向き合う形で想楽はクリスを見下ろす。欲望を隠そうともしない瞳がクリスに向けられ、ずいと顔が寄る。目を開けたままクリスは想楽の唇を受け入れようとするが、すんでのところで想楽の顔が止まる。
「…………、っ」
破裂するように息が漏れる。
「……想楽?」
想楽の唇がくにゃりと曲がったかと思えば喉奥から笑いがこみあげる。ごめん、と告げる想楽は困惑を浮かべ、クリスに顔を寄せたまま言い訳を始めた。
「――最近、仕事が色々入ってたから」
暖房を点けることすら忘れて抱き合ったせいで部屋は冷え切っていた。遅まきながらそう気付いて想楽はエアコンのリモコンに手を伸ばし、無機質な起動音を立ててから続きを述べる。
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