まったくもう! 理由あって実体化した『タイムプリディクション〜時空の監視者』の登場人物らを前に、北村想楽は動揺を隠すための微笑を顔面に張りつける。
トリガーとバレットは秋山隼人・若里春名の両名に連れられて東京観光へ。葛之葉雨彦は暁ナハトとともに妙なにこやかさでもってどこかへ消え、流れを察したプロデューサーが理人・ライゼと古論クリスを別室へ案内したので、事務所の応接室には真白ノイと想楽だけが取り残されている。物珍しさと怪訝さがないまぜになった表情で事務所をあちこち見回すノイが自分と同じ顔をしているだけあって、向き合っているだけなのに収まりが悪い。
「えーと……」
暁ナハトがおり、トリガーとバレットもいるせいで、『この』真白ノイが『どの』時点の真白ノイなのかを測りかねて、言葉を選ぶ必要があった。
1016