突然ではあるが、日頃の鬱憤を晴らすいい機会ではある。
とはいえ、喧嘩腰で対峙するのがよろしくないことくらい五条も理解している。だからといって、愛想良くしてやるのも気が進まない。
――どうしたもんかな。
「……」
ちらりとウニ頭の方を窺えば、仮にも今をときめく芸能人と二人きりだというのに全く臆した様子がない。
――態度はともかく、顔は悪くないな。
改めて間近で見ると、細身だが程よく鍛えられた体はモデルをしていると言われても納得できる。目つきこそ多少悪いが、鼻筋は通っているし、深い緑色の瞳は思わず惹きつけられるような色をたたえている。
「それで話ってなんですか?」
「あー、それな……」
あれだけ問い質したいことがあったはずなのに、五条を見やる緑色の瞳に言葉が吸い込まれてしまったようだった。
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