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    茶の人

    TLにデエエエエンって載せるのははばかられるものとか。

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    茶の人

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    AIのべりすと君に没ネタのリサイクルを頼んだら、やべーものが生成された。
    割合としてはのべりすと君6紅色紅茶4くらい。

     ナナシは家計簿を前に渋い顔をしていた。
     赤字だ。
     どこからどう見ても赤字だ。
     R255G0B0ぐらいの、完膚なきまでの赤字だ。
    『コーラル おさいふ まっかなの?』
    「みたいだなァ……」
     まあ、考えてみれば当たり前な話だ。いくら高給取りとはいえ、資産家でもない一般人がHANOI三人を一気に養うなんて、無理がある。しかもコーラルは本社を退職し、例の本を出版したばかりで、印税が入るまではまだ時間がかかる——つまり、収入はほぼゼロに等しかった。
     コーラルはどうにかその現状を三人に悟らせまいと努めていたようだが、家計簿を慌てて隠すのをナナシは見逃さなかった。そして家主が寝静まった後、ナナシはそっと起き出し、ついでに夜眠れなくてついてきたクレヨンと一緒に家計簿を見ていたわけである。
     パラパラとページを遡ると、ナナシ達が来る以前のページには本当に最低限の出費だったのが、ここ最近は四人分の食費に服代家具代と、凄まじく出費が膨らんでいた。
    特にひどいのはやはり住居関係だろう。
    そもそもこの部屋自体、元々は空き室だったというところに入居者募集の広告を出したところ、大家がたまたま通りかかったコーラルを見て飛びついたのだそうだ。曰く、「こんないい物件なかなかないわよ! 保証人も要らないんだって!」とのことらしいのだが、その後すぐにコーラルが会社を辞めたせいで契約更新もされず、結果この有様というわけだ。
    「もうちょっとマシな部屋に引っ越さねェと」
    「でも、お金あんまりないし」
    「…………だよなァ…………」
    貯金はと言えば、ほとんど使い果たしている。
    コーラルの収入が不安定だということもあるが、何より日々の生活を切り詰めてなんとかやりくりしている現状では、まとまった金額を用意することなど不可能だった。
    「このままじゃマズイぜ、マジで」
    「うん…………」
    クレヨンが不安そうに俯いたその時、部屋のドアホンが鳴った。
    誰か来たのだろうか? 二人は顔を見合わせ、そろりそろりと玄関へ向かう。
    「はい?」
    「こんばんはー! 宅配便ですけどぉ!」
    現れた配達員は、なんとも胡散臭い男だった。
    髭面で背が低く、全体的に小太りで頭髪も薄くなってきているように見える。配達員というよりはセールスマンといった方がしっくりくるような外見だったが、
    「あのォ、こちらコーラルさんのお荷物でお間違いないですかぁ?」
    男は妙に甘えたような口調で訊ねながら、こちらへ一歩踏み出した。
    「えっ? はあ、そうですよ」
    ナナシは内心ヒヤリとした。
    「それならよかった~。実はですねぇ、こっちの方角に向かって歩いてたら偶然見かけて、それでわざわざここまで届けに来たんですよぅ。コーラルさんのご自宅はこの辺りかと思って」
    どうやらこの配達員、コーラルの自宅を知っているようだ。
    ということは、
    「…………ひょっとして、コーラルさんとはお知り合いで?」
    ナナシの問いに、男は得意げに胸を張って答えた。
    「そうなんですゥ! 僕は彼の大学時代の後輩でしてぇ、それで彼が困っていた時はよく相談に乗ってあげていたんですけどォ。まあその話はいいや。彼、最近仕事辞めちゃいましたよね。だから今は僕がこうして、彼に代わってお買い物を引き受けてるんですよぅ。ほらこれ、頼まれたもの全部入ってますから、確認してください」
    そう言って男はナナシに紙袋を手渡してきた。ナナシは怪訝そうに袋を凝視するが、特に不自然なところはない。爆弾が仕掛けられているとか、危ないクスリが入っているとか、そういう感じもしない。
    「中身は大丈夫みたいですね。ありがとうございます。それじゃあこれで失礼しますんで」
    「いえいえ、また何かあったらいつでも呼んでくださいぃ。あ、それからコーラルさんにはくれぐれもよろしく伝えといてくださぁい。彼は僕の恩人なんだから」
    「…………はあ、わかりました」
    それだけ言うと、ナナシはそそくさと玄関を閉めて鍵をかけた。
    「ぴんぽんしたの だれだった? しらないひと?」
    「ああ。あの人の知り合いで、買い物の代理を頼んでたとか。……クレヨン、何か話聞いてたか?」
    「ううん しらない。コーラル なにもいってなかった」
    「だよなァ。とにかく、とりあえず部屋に戻ろうぜ」
    リビングに戻り、ナナシはテーブルの上に先ほどの配達員が持ってきた荷物を置いた。赤字の家計簿が広げられたままだったが、取り敢えず脇に置いておく。今は荷物だ。ナナシの本能が、あの男はどうにも怪しいと警鐘を鳴らしていた。
    「なにかな なにかな」
    クレヨンが興味津々に覗き込んでくる。
    「…………開けるぞ」
    「うん!」
    ナナシは慎重に梱包を解き始めた。
    出てきたのは、DVDのパッケージだった。
    『ザ・シークレットマン』というタイトルの下、全裸の男がポーズを決めているイラストが描かれている。
    「…………これ、なんだろう?」
    クレヨンが無邪気に尋ねるが、ナナシは固まった。
    これ、AVだ。
    「びでお ってなに? なんかへんな かんじ」
    「変なもんじゃない。こういうのが好きな奴もいるんだよ」
    「ふーん。でもコーラル こんなのすきなのかな」
    「さあなァ」
    どうにか平静を装うが、内心ナナシは動揺しまくっていた。
    あのコーラルが、マシュマロを擬人化したような33歳独身男性が、AV。
    しかも見た感じ、ネタ臭のすさまじいゲイビデオ。
    夢ならばどれほどよかったでしょうとは、よく言ったものだ。ナナシは泣きたくなった。
    「…………一応聞くけどよ、これコーラルのじゃねェよな?」
    「え? ちがうとおもうけど」
    「だよな。あいつはノンケだしな」
    「うん」
    「よし。この話は忘れよう。俺達は何も見ていない」
    ナナシはDVDを元の袋に戻し、ついでにガムテープでぐるぐる巻きにして封印した。コーラルが頼んだものじゃないなら誰のだよという理性の突っ込みは聞かない振りだ。
    「いやー、にしてもあの人、一体何考えてるんだろ。時々意味わかんねェことするからなァ」
    「ほんと ふしぎ だねえ」
    「ま、ともかくこれで一件落着だ。メリーティカにも内緒だぞ。いいな?」
    「うん! クレヨン ないしょ する できる!」
    「よし、じゃあ今日は早く寝ような。明日も早いから」
    「おやすみ なさあい」
    「おやすみ」
    そのAVが引っ越しの時に発掘され、軽めの修羅場になるのはまた別のお話。

    終わり
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