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    今朝の夢を元にバーッと書き出した文章です。

    ##SS

    幸福の薬私は天才科学者だ。
    つい先日、私は遂に知能を高める薬の開発に成功した。
    私はいてもたってもいられず早速自身に使用した。
    この多幸感と万能感。次々と湧き上がるアイデア。発明は成功した。私は更なる知能を得ることが出来たのだ。
    ああ、また新たなアイデアが浮かんできた。次の発明は「幸福の薬」だ。あの物質とあの物質を結合させれば素晴らしい効果を得られるに違いない。新たな物質に生成されるこの部分の効力は人類未到ではあるが、人間の限界を超えた私ならば実験をせずとも理解できてしまう。
    私は湧き上がる発明のアイデアを一つも漏らすまいと紙に化学式を書きあげた。
    ああ、早くこれを実証して世に知らしめたい!
    「おい助手、これを見ろ!」
    「はい、博士。」
    「また素晴らしい発明を思いついたぞ。次の実験はこれだ。」
    「はい、博士。では準備を致しますので、博士は次の発明のアイデアをおまとめになっていてくださいね。」
    「うむ、任せたぞ。何しろアイデアが溢れて時間が惜しいのだ。」
    助手はにこりと微笑んで踵を返した。
    さて、何の話をしていたのだったか。……ああそうだ、次のアイデアを書き記しておかなければならないのだった。
    私は新しい紙を用意して化学式を書き始めた。
    次の発明品の名前は「幸福の薬」だ。

    †††††

    「──お待たせ致しました。」
    一人の若い女が数枚の紙を持ってこちらに戻ってくる。
    「今のは……。」
    「ええ、彼がこの研究所の所長、Nです。」
    女はにこりと微笑んだ。歳に似合わない知的な雰囲気を醸している。
    「ご存知のように、彼は人間の知能を高める薬を開発しております。」
    「だが、あれではまるで……。」
    言い淀む男の耳に奥の部屋のわめき声が届く。何かしらの意志を持っているようだが、何を話しているのか理解できない。あれを例えるならば、
    「喃語、と形容するのが適切でしょう。」
    女は微笑みをたたえたままだ。
    「彼はあの薬を人間の体で試したのです。その結果、彼は『最高の知能』を手に入れ、日々『発明のアイデア』をこうして書き続けています。」
    彼女は男に丸めていた紙を渡した。
    広げてみると、一面黒いペンで出鱈目に線が引かれただけの、ありていにいえば小さな子供の落書きだった。
    「あの薬が完成したのはひとえに彼のお蔭です。」
    「…しかしそれは何年も前の事だろう。彼が今も所長だというのか。」
    「ええ、勿論。彼は高名な科学者ですから。」
    女の名札中央、金彫りの”N”の苗字がキラリと光った。
    「さあ、これが貴方の求めている物です。」
    そう言って女は錠剤の入った小さな袋を差し出した。
    「…知能を奪える薬と聞いてきたが、効果は本物のようだな。」
    「ええ、幸福物質の放出を促しながら脳細胞を異常増殖させ、脳を破壊に至らしめる薬です。」

    「我々はこの薬を『幸福の薬』、と呼んでいます。」
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