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    rakugakizero

    @rakugakizero2

    刀剣乱舞を七年放置してそこから頑張っている審神者です。@rakugakizero2

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    rakugakizero

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    8度目の就任記念日(画面とかお祝いをもらったのは初めて)を迎えたので、たれ本丸のいままでとその日を迎えるまでの歩みをまとめてみました。
    こんな感じでたれ本丸のモノ語りをちょこちょこ書いていきたいです。

    8度目の4月28日「かせん。あるじさまのしゅうにんびは、いつなのですか?」
     3月も間もなく終わりを迎える。定例軍議が終わりに近づいたころ、最後に今剣が手を上げて歌仙に尋ねてきた。
     審神者の就任日。軍議とはまったく関係無い話だ。歌仙はそれについて咎めることは無く、何を言われたのか一瞬理解できず、少し口を開け、ぽかんとした表情を見せる。
    「ある、じ……の?」
     ようやく言葉が出た。その場にいた山姥切国広、へし切長谷部、大倶利伽羅、大和守安定、鯰尾藤四郎、三日月宗近、髭切が歌仙の言葉を待っている。なぜなら彼らは審神者の就任日を知らないからだ。
    「きょねんのなつ、あるじさまはもどってきました。それから、あき、ふゆ、もうすぐはるがやってきます。でも、あるじさまのしゅうにんきねんをおいわいしたことがありません。もう、3がつもおわります。のこるみつきのなかに、しゅうにんびはあるのですか?」
     この本丸が生まれて約二週間後、とある出来事をきっかけに審神者は本丸から離れた。それから二年置きに一週間程本丸に姿を現し、姿を消した。そして去年の夏。三年ぶりに審神者はこの本丸に戻ってきた。おそらく八年を迎えるであろうこの本丸は、いったいいつ生まれたのだろうか。
    「あるじさまは、しゅうにんびをおしえてくれませんでした。だから、あなたにきくしかないのです」
     審神者が戻ったのは去年の7月。それから月日が流れ3月も終わる。それまで就任祝いをしていないのだから、残るは4、5、6月のいずれか。今剣はこの本丸の初鍛刀で顕現した男士ではあるが、この本丸が生まれた日には顕現していない。今剣が言うには審神者は就任日を言おうとしない。ならば審神者と共にこの本丸を立ち上げた始まりの一振り、歌仙兼定しか尋ねる者がもういないのだ。
     長い沈黙。今剣の言葉を聞きながらいつの間にか俯いていた歌仙。いつか、誰かから聞かれるだろうと思っていた言葉。ついにこの時が来たのだ。ゆっくりと、顔を上げる。
    「……4月、28日だよ」
    「4月?! もう間もなくではないか!」
     驚きと怒りを混ぜた声をあげたのはへし切り長谷部だ。他の男士も驚いた表情で歌仙に視線を向ける。
    「主の大切な日を、なぜ貴様は黙っていた!」
     この本丸が生まれた日。それは男士たちにとっては大切な日でもある。審神者がいなければ、いまこの場に自分たちはいない。ほとんどこの本丸にいなかった審神者ではあるが、主として慕う彼らにとって、審神者の大切な日を祝いたいというのは本能に近いのかもしれない。
    「またいなくなる可能性があるから、黙っていたんだよ」
     長谷部の問いに簡潔に歌仙が答える。場が静まる。さすがの長谷部も言葉に困った。その一言に返す言葉は持っていなかったようだ。
     そう。この本丸の主は長いこと本丸を離れていた。去年の夏の終わりに戻ってくる前、本丸にいた日をどれだけ数えても一年に満たない。何ならひと月。8年目を迎えようとするこの本丸で、主がいた日々はわずかそれだけなのだ。
    「就任日を知って祝おうとして、それで主がまた姿を消せばそれまでの準備は徒労に終わる。だから何も言わなかった。それが僕の答えだ」
    「だが、歌仙よ」三日月が静かに口を開く。「お主から見て、今の主をどう思う? 戻ってからの主の功績を知っているだろう。それを考慮してなお、またいなくなると、そう思えるのか?」
     三日月の言葉に歌仙は押し黙る。そう。去年の夏の終わりに審神者は再び本丸に戻ってきた。また一週間程でいなくなるのでは。歌仙はそう思っていた。ところがどうだ。一週間、ひと月が過ぎても審神者は本丸にいた。月日が流れてついこの間、初めて審神者がいる年末年始を過ごした。こんなに長いこと、審神者がこの本丸にいたことは無かった。
     そればかりではない。審神者が三度戻ってきた時、この本丸は練度の低い初の男士ばかりで、極どころか特のついた男士もいなかった。部隊も2部隊しか編成できなかった。それがいまではどうだ。4部隊編成ができるようになった。歌仙を始めとし、修行に行き極となった男子が多数。25振だった男士は、去年顕現した髭切を含め90振近くまで増えた。全て、審神者が戻ってきてからの功績だ。
    「……今の主なら、ずっといてくれるのではないかと、そう思う」
    「なら、あるじさまのしゅうにんびをおいわいしましょう?」
     素直な言葉に応えた今剣の言葉。歌仙は軍議に参加している男士の顔を見る。みな、同じ表情をしている。答えは決まったようだ。
    「じゃあ、そうなったら盛大にお祝いしないとね」
    「そうですよ。この前の正月の時の様にパーッとやりましょう!」
     大和守と鯰尾がお祝いだ、と騒ぐ。その横で大倶利伽羅は慣れ合うつもりはない、という表情で座っている。しかし、そこまで嫌な表情はしていない。
    「ならばすぐに他の男士にも伝え、主の就任記念を祝うための準備を――」
    「ちょっと待ってくれ」
     長谷部の言葉を遮るように山姥切国広が声を上げる。いきなりなんだ、と不機嫌な表情で長谷部が山姥切を見る。
    「――歌仙。あんたは主をどう祝いたいんだ?」
    「――僕が?」
     いきなりの質問に歌仙は再びぽかんとした表情を見せる。どう祝いたい? それはもちろん盛大に祝ってあげたい。主がいなければこの本丸は、僕達は存在しなかった。
     ……ああ、でも……。
    「――僕は」
     歌仙が気持ちを吐き出す。その内容にもちろん長谷部が怒りを表す。予想しうる反応故、なぜそうしたいのか、歌仙はきちんと説明する。
    「それがあんたの気持ちならば、俺たちがとやかく言う理由は無い」
     ぴしゃりと山姥切が言い放つ。山姥切は歌仙の気持ちをよく知っている。だから審神者への気持ちを確認させたのだろう。
    「ギャル切君が言うなら、僕も賛成だよ」
     髭切が一つ頷き、山姥切の言葉に賛同する。
     今剣や大和守、鯰尾も頷く。大倶利伽羅はそっぽを向いていたが、反対の意は無いようだ。
    「ならば決まりだな。長谷部よ。この本丸の初期刀殿が己の気持ちを吐き出したのだ。それにきちんと答えてやるのも、我らの役目であろう?」
    「……わかった」
     三日月の言葉に長谷部はしぶしぶ頷く。素直に従うのは、長谷部もこの本丸のことを理解しているからだろう。
    「して歌仙。俺たちはどのように動けばいい?」
    「そうだね……」
     それからは審神者の就任記念の打ち合わせを行う。やりたいことを歌仙は伝えた。じゃあこうしよう。とみなが口々に提案し、すんなりと就任記念の流れは決まった。
    「では、当日までに準備を頼む」
     その一言に、みなが頷く。


     4月に入る。今年は桜が例年より早いそうだ。歌仙と今剣は審神者と共に花見の打ち合わせを行っている。
    「ことしはさくらのかいかがはやいのですね。“こんげつ”はおいわいもないですし、たくさんさわぎましょう」
    「燭台切達と弁当の打ち合わせをしないといけないね。さて、どんな弁当にするか」
     顎に手を当て歌仙が考える。と、審神者からの視線を感じそちらを見る。
    「主? どうしたんだい?」
     何か言おうと口を開き、しかし審神者は口を閉ざす。それを見た歌仙は何も言わない。しかしそれで理解した。今剣が今月は祝い事が無い、と言ったことに反応していた。審神者は就任日のことを言おうとしていた、と。
    「そうだあるじさま。あしたからぼくたちとかくれんぼをしませんか?」
     今剣の提案に審神者は不思議そうな表情を見せる。かくれんぼ。短刀たちと遊ぶことは何度かあったが、かくれんぼは初めてだ。今剣の言葉に審神者は頷いた。
    「短刀は隠れるのも見つけるのもうまいよ。しっかりと鍛えてもらうといい」
     歌仙の言葉に審神者の表情が固まる。今剣はにこにこと微笑むのみ。

     それから5日後。桜が見ごろを迎えた。今日の昼から花見の予定だ。朝から歌仙や燭台切は弁当作りに追われている。歌仙が卵焼きを作り終えた頃、厨に審神者が姿を現す。
    「主? 卵焼きの匂いに釣られて来たのかい? もう少しで弁当ができるから、今剣たちと先に花見会場に行くといい」
     そう声をかけるも審神者からの返事は無い。振り返れば着物の裾を掴み、何かを伝えようと口を開こうとしては、しかし口を閉じてしまう。それを見ながら歌仙は、主は変わった、と思う。
     初めて出会った時、審神者は物怖じするような人間では無かった。まだ顕現して間もない、人間の肉体に慣れていなかった歌仙に、審神者は人間とはこういう生き物だ、ということを教えた。腹が減ったら食事を取る。眠くなったら布団で寝る。怪我をすれば血が出る。そんな一つ一つを、本丸ができたその日に審神者はいろいろと教えてくれた。
     翌日には初鍛刀で今剣がやってきた。審神者は昨日と同じように今剣にいろいろなことを教えた。歌仙はそれを見ながら、主に選ばれた始まりの一振りとして、刀剣男士としての責務を果たそうとした。
     しかし、ある出来事をきっかけに審神者は本丸を離れた。二年後に一度戻ってきた時、歌仙を避けるようになった。目が合えば審神者から目を反らし、声をかければ審神者は言葉に詰まってしまった。歌仙に対し負い目を感じてしまった審神者は、歌仙を避け、歌仙もまた、そんな審神者にかける言葉が見つからなかった。
     それから二年後、審神者はやはり一週間程で再び離れた。それから三年の月日が流れ、去年の夏、審神者は三度戻ってきた。相変わらず歌仙を避け、近侍を山姥切に変えてしまったが、それでも審神者としての仕事に努めた。
     やがて修行に出る男士が現れるようになった。歌仙も審神者に修行の許可をもらい、極の姿となって戻ってきた。それを境に審神者と話をし、ようやく歌仙と審神者はまともに会話ができるようになった。
     と言っても、七年も本丸を離れていた審神者がいまさら戻ってきて、本丸の主として刀剣男士を導く。刀剣男士たちはそんな審神者を主として認めてくれているのだろうか。去年の夏以降顕現した男士たちはそんな事情を知らない。だから審神者も普通に接することができたが、古参組にはよそよそしくなってしまう。古参組である長谷部や乱、秋田は気にしないで、と声をかけるも、気を使わせているのではないか、そんな考えがグルグルと審神者の頭を回り、結果物怖じする審神者が生まれてしまった、ということになる。
     話を戻し、歌仙は目の前で考えあぐねいている審神者を静かに見守る。何か声をかけることは簡単だ。しかしそうすれば審神者の本当の言葉を消してしまうだろうし、言葉を飲み込んでしまう。ここは、審神者がちゃんと口にするまで待つしかない。
     ようやく、意を決し審神者は尋ねる。
    「――4月の末? 何か用事でもあるのかい?」
     4月末のことだが、覚えているだろうか。審神者はそう訊ねた。やはり、と歌仙は心の中で思う。覚えているとも。もちろんそう言いたかった。しかしその言葉をグッと押し込め、歌仙は知らないと告げる。
     その言葉に審神者は悲しみ――落胆した表情を見せる。覚えていない。それもそうか。そんな表情を見せる審神者を見て、歌仙の胸がチクチクと痛む。わかっている。審神者がどういう反応を示すかなんて。しかし、いまはそう言わせてほしい。歌仙は心の中で審神者への非礼を詫びる。
    「あるじさまー!」廊下から今剣の声が聞こえ、厨に入ってくる。「さがしましたよ。おはなみのとくとうせきをつくったので、いっしょにいきましょう?」
     審神者の手を取り、今剣は廊下へ連れていこうとする。審神者は一度だけ歌仙の方を向いたが、すぐに視線を今剣のほうへ向け、厨を後にする。
     足音が遠くなり、二人の気配が無くなった後、歌仙は小さくため息をついた。


     4月28日。審神者はいつものように身支度を済ませると今日一日の仕事の確認を行う。遠征に行っていた者たちからの報告。内番の担当決め。演練に参加する他の本丸の一覧の確認。それらに一通り目を通し、配置する男士たちを決めると近侍である歌仙に指示をする。
    「――今日は、演練も遠征も出陣も無いのかい?」
     審神者の指示に毎日ある項目が無い。今一度確認を取り、審神者は無いことを告げる。
     なぜ、と歌仙はそれ以上問わなかった。審神者の決めたことにいままで反発したことが無いからだ。歌仙の反応を見ながら、審神者は様子を見ているようだった。
     本当に、今日を覚えていないのだろうか、と。
     刀剣男士にとって審神者という存在は絶対的なものだ。この本丸を立ち上げた時、隣にいてくれたのは歌仙しかいない。審神者にとって、それこそ歌仙にとっても大切な日であるはず。しかし、そう思っているのは審神者だけなのかもしれない。ほとんどこの本丸にいなかったのだから。自分にとって都合のいい期待を、歌仙を近侍にすることで思い出すかもしれないと期待していたのかもしれない。
     今日はこの本丸の始まりの日。一言そう言えばいい。けれどためらった。ほとんどこの本丸にいなかったからだ。いままで戻ってこなかったのに、今日は本丸の始まりの日だからお祝いしよう、とは言えなかった。
     他者から見れば意気地がない、と思われるだろう。そして歌仙――初期刀に今日を忘れられていた。自業自得。それが答えだ。

     演練も遠征も出陣も無い。そんなのは初めてだ。と廊下から男士たちの声が聞こえてくる。今日は特別な日だから。気持ちだけでも。審神者は男士の声を聞きながら今日の仕事をしようと筆に手を伸ばす。
    「あるじさま!」
     とたとた、と足音を立てながら今剣が部屋へ入ってくる。
    「お昼までかくれんぼをしましょう?」
     いつもは短刀たちと演練に行くのだが、今日はそれが無い。今剣は目を輝かせながら審神者に尋ねる。今日は特別な日だ。仕事は明日でもいいのかもしれない。そう考えた審神者は今剣の言葉に頷き、立ち上がる。
    「きょうはおおひろまからはじめますよ。いつものように、ひゃくをかぞえてくださいね」
     今剣から目隠しをもらうとそれで目を覆い、審神者は数を数え始める。歌仙の言っていた通り、短刀たちとかくれんぼを行うと彼ら見つけることができない。逆に隠れているとあっという間に見つかってしまう。どうすればうまく見つける、隠れることができるのだろうか。
     百まで数えきる。今日は一人くらい見つけられたら。そんな思いを込め、審神者は目隠しを取る。

    「主」

     審神者の目の前に戦装束に身を包んだ歌仙が、山姥切が、長谷部が、この本丸の男士たちが座っていた。みな戦装束に身を包み、静かにその場に座している。突然のことに審神者は驚き硬直する。
    「此度の就任記念。我ら男士一同心からお祝い申し上げる。不在の時こそあれど、再び審神者として尽力され、我らを導いてくれたことに深く敬意を表す。我ら男士一同。これからも末永くお仕え申し上げる」
     歌仙の祝辞と共に男士一同頭を下げる。数十秒程経ってから、歌仙はゆっくりと頭を上げる。
     審神者の表情を見た瞬間。今度は歌仙が驚き硬直する。目に涙を溜め、顔を真っ赤にした審神者がわなわなと肩を震わせている。
     怒っている、よな? 誰かの声と共に男士達に緊張が走る。

     歌仙兼定!!

     審神者の怒声が大広間に響く。「主ってあんなに大きな声がでるんだね」と、最後列にいた姫鶴一文字が後に語った。
     初めて聞く怒声に歌仙の背筋がさらに伸びる。立ち上がった審神者は歌仙の前に立ち、しかしその場に力なく座り込む。
    「あ、主?」
     俯いたまま、審神者が歌仙の胸を叩く。力はこもっていない為、とん、と小さな音が聞こえる。二度、三度と叩き、やがてその手が止まる。
     泣きながら歌仙へ、今日を覚えていたことに対しありがとう、と何度も礼を述べ審神者が感謝する。胸を叩いた審神者の手に歌仙は自身の手を重ねる。
    「……嘘をついてすまなかった。主」
     素直に歌仙が謝る。

     この本丸の審神者は長いこと本丸から離れていた。いつか、審神者との縁が切れるのではないか。歌仙はそれを恐れていた。
     自分を避けてもいい。嫌われてもいい。ただ、この本丸に居てほしい。その願いを胸に過ごしてきた七年。去年審神者が戻った時、喜ぶ気持ちと共に、またいつものようにいなくなってしまうのだろうと不安の気持ちもあった。
     だが今回は違った。審神者がいる。ひと月、二月と月日が経っても本丸にいてくれる。それがどれほど嬉しかったか。
     3月。来月にはこの本丸の始まりの日がやってくる。初めて祝うことができるのではないか。期待すると共に、一握りの不安もあった。今剣に審神者の就任日を尋ねられた時、ちゃんと答えられなかったのは期待と不安の両方があったからだ。
     祝いたいと思う気持ちと共に、自分の七年分の不安を審神者にぶつけたかった。山姥切がどうしたい、と問われた時、審神者には当日まで黙っていてほしいと伝えた。驚かせたかった。審神者に少しでも自分の気持ちを知ってほしかった。
     そんなことを考え、いざ当日を迎え、泣き出した審神者を見て、一番後悔したのは歌仙本人だった。しかし泣きながらも感謝を述べた審神者。覚えていてくれてありがとう。それは歌仙も言いたかった言葉の一つだ。
     帰ってきてくれてありがとう。修行に行かせてくれてありがとう。この本丸の始まりの日をようやく祝うことができた。
     ここからもう一度、始めよう。


    「夜は君の“一年目”の就任祝いの宴会を開く予定だよ」
     大広間での祝辞が終わり、執務室に戻った審神者は歌仙の言葉に引っかかりを感じた。この本丸が始まったのは八年前だ。なら八年目、ではないのか。
    「八年? それは政府が言っている在任期間のことだろう? きみが不在だった期間を抜いたら、在任期間は一年くらいだよ?」
     確かにそうだ。むしろ一年にも達していない。それでも今日は記念の日だ。審神者は歌仙を見上げ、礼を述べる。

     あなたが始まりの一振で、良かった。

     審神者の言葉に、歌仙は穏やかな笑みを浮かべる。
    「僕で良かったに決まっているだろう?」
     歌仙の言葉に審神者も頷く。

    「これからもよろしく。我が主」
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